インターネット法サイバー法の研究

 Cyberlaw Studies

中央大学 教授(総合政策学部)・同大学院総合政研究科委員長・策大学院米国弁護士(NY州)・博士(総合政策)(中央大学)平野 晋  日本で最初にサイバー法の研究を宣言(*)した研究者三名の内の一人である平野晋のインターネット法に関するウエブサイトです。   (*) See「サイバー法とは何か」『判例タイムズ』984号(平成10年12月1日). Susumu Hirano; Professor, Faculty of Policy Studies, Chuo University (Tokyo, JAPAN); Doctor of Policy Studies (Chuo Univ. 2007); Member of the New York State Bar (The United States of America).  Copyright (c) 2005-2015 by Susumu Hirano.   All rights reserved. 但し作成者の氏名&出典を明示して使用することは許諾します。 もっとも何時にても作成者の裁量によって許諾を撤回することができます。当ページ/サイトの利用条件はココをクリック Terms and Conditions for the use of this Page or Site. 当サイトはサイバー法(Cyberlaw)の研究および教育用サイトです。

〈〈〈 2時間ライブ番組で、総務大臣と共に、携帯料金政策を解説しました。〉〉〉

【未校閲版】without proofreading

- 筆者監修によるTV番組「Cyber Law: the Internet Freedom and Regulations」(英語字幕版)をYouTubeにてご覧いただけます。

インターネット法 速報 & 告知

As of Feb. 05, 2016 現在 【未校閲版】

- インターネット・電気通信関連の政府系研究会等に以下のように参加・活動中です。




人工知能・IoT、ロボット、自動運転、等を検討する有識者会議

総務省 「ICTインテリジェント化影響評価検討会議」の

座長代理」に選出されました。



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-総務省の携帯料金タスクフォースの主査代理として政策立案に参画しました。Dec. 16, 2015

〈ANNニュース Dec. 16, 2015〉



<FNNニュース Dec. 16, 2015>


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〈NHKニュース〉


「SIMロック解除」を決定した、
筆者が主査代理を務める有識者会議が報道されました。


フジテレビ・ニュース「FNN」のニュース動画

日経コミュニケーションの記事



筆者が「主査代理」を務めている 総務省・消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」において

-スマホ契約等に「クーリング・オフ」の法規制が必要
-「2年縛り契約」は問題アリ

という結論に到りました。



2014年6月04日開催の会合@総務省の写真



毎月執筆・連載中の「インターネット法判例紹介」の、今月(6月)15日発売号掲載原稿として、

「忘れられる権利」を認定した欧州司法裁判所の判例
グーグル社 対 AEPD&ゴンザレス」事件


を発表します。


筆者が「主査代理」を務めている 総務省・消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」のアッド・ホック会合において

「SIMロック・フリー」化促進の為の法規制が必要

という結論に到りました。


2014年5月20日開催の会合@総務省の写真

 

スマートフォン等の契約にクーリングオフを導入する新しい法制度導入の、
作業部会(総務省)の主査代理を務めております。


総務省・消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG

     
次の研究会の構成員を務めております:  ICTサービス安心・安全研究会by 総務省・消費者行政課
                 
    

次の研究会の構成員を務めております: 
インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会by 総務省・データ通信課
                
     「広告表示アドバイザリー委員会」の「委員長」を務めております by 電気通信サービス向上推進協議会

 -「スマートフォン時代に於ける安心・安全な利用環境の在り方に関するワーキング・グループ(WG)
by 総務省・消費者行政課

 -「多様化・複雑化する電気通信事故の防止の在り方に関する検討会 by 総務省・電気通信事業部

 -「情報通信法学研究会」(堀部政男座長) by 総務省・情報通信政策研究所

 -携帯電話端末修理事業連絡会 by 電波産業会ARIB総務省・電波環境課

- 以下の論文が総務省の学術雑誌『情報通信政策レビュー』に掲載されました。

***平野 晋 [著] 「免責否認の法理(通信品位法230条)」***
『情報通信政策レビュー』第8号(pp.21)(2014年4月)
〈http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/icp_review/08/08-5hirano2014.pdf〉

『国際商事法務』での連載「インターネット法判例紹介」を以下のように更新しました。Aug. 28, 2013.

1998年 / 1999年 / 2000年 / 2001年 / 2002年 / 2003年 / 2004年 / 2005年 / 2006年 / 2007年 /2008年 / 2009年 / 2010年 / 2011年 / 2012年 / 2013年 / 2014年 / 2015年 /201n年

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<<<<以下はコーネル大学法科大学院での客員研究員・在外研究開始(2011年夏)の前までの内容>>>>

インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループ]
第5回会合 平成22年3月24日 議事次第・資料 議事録
第4回会合 平成22年3月15日 議事次第・資料 議事録
第3回会合 平成22年3月3日 議事次第・資料 議事録
第2回会合 平成22年2月22日 議事次第・資料 議事録
第1回会合 平成22年2月16日 議事次第・資料 議事録

「サイバー法と契約行動--『約定を、読まずに"はい"と、クリック押(おし)」
in『中央評論』59巻2号[No.260]59-68頁(2007年7月).

目次

 筆者が参加したインターネット法・サイバー法系の日本政府/公益主要研究会・懇談会

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追補 -- 以下のインターネット法に関する拙プレゼン資料への追加資料&補足説明

総務省「IP化時代の通信端末に関する研究会」の第8回研究会に於ける発表賠償責任と、無責任と、抑止 〜Liability, Irresponsibility, and Deterrent〜
プレゼンの参考資料 / スライドへの追補 / … / … / Good Samaritanな義務を課した方が望ましいという「法と経済学」的な分析 / ベスト・リスク・ミニマイザーに間接責任を課す根拠としては、「ラスト・クリア・チャンス」の法理や、「損失軽減義務」の法理も援用可能 / 

___________________.

 インターネット法・サイバー判例要旨集(「連載インターネット法判例」掲載裁判例(決定)名インデックス)

1998年 / 1999年 / 2000年 / 2001年 / 2002年 / 2003年 / 2004年 / 2005年 / 2006年 / 2007年 /2008年 / 2009年 / 2010年 / 2011年 / 2012年 / 2013年 / 2014年 / 2015年 / 201n年

___________________.

インターネット法に係わる「検索エンジンと権利侵害の研究」 

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  インターネット法(サイバー契約法)に係わる「ブラウズラップ契約の研究

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 マスコミ等に於ける筆者のインターネット法・サイバー法関連発言等

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インターネット法に係わる読売新聞社 対 デジタルアライアンス」事件控訴審判決
新聞記事の「見出し」の複製リンクに対し不法行為責任を肯定した日本の知的財産権高等裁判所判決について

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インターネット法・サイバー法とは

「サイバースペース」とは…
語源と「サイバー・パンク」 --- ウイリアム・ギブソンによるSF小説の世界 / 「サイバー」という語の語源
インターネット法・サイバー法学の歴史的変遷
ジョン・ギルモアと、「ネットは検閲をダメージと看做し、これを迂回する。 / ジョン・ペリー・バーロー
 「セカンド ライフ」とは(定義)
R.ポズナー判事が「セカンド ライフ」に登場?!

CC-licensed "Attribution-NonCommericial-NoDerivs 2.5" / Courtesy of nwn.blogs.com

インターネットやケータイは、文化を堕落させるのでケシカランのか?

歴史的エンピリカル・スタディーズ的視点からのアナロジーによる分析
法と経済学的な危険効用基準を当てはめた分析
法と認知科学∞法と行動主義経済学%Iな立場から人の誤謬を指摘 
ケータイやインターネットが従前の現実世界のコミュニティを破壊させるという言説

インターネット法・サイバー法に対するメタファー(喩え、比喩)の影響

『1984』に描かれる「ビッグ・ブラザー」な全体主義はもはや現実的ではないのか?
インターネット法・サイバースペースに於けるメタファーの例

インターネット法に係わる迷惑メール/スパム」の法律問題に関する研究

インターネット・サイバースペースに於ける情報の「公有」対「私有財産化」

インターネット法に係わる「電子的開示手続:“イー・ディスカバリー=v(e-discovery)の研究

インターネット法に係わるISP等の「仲介者責任」の研究

インターネット法に係わる主な参考/引用文献

筆者が参加した(している)インターネット法・サイバー法系の日本政府/公益主要研究会・懇談会等

- 総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会プロバイダ責任制限法検証WG構成員(2010年10月〜)

- 総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会電気通信サービス利用者WG」構成員(2010年9月〜)

- 総務省・情報通信政策研究所特別上級研究員」(2010年7月〜2011年3月)

- 内閣官房(知的財産戦略推進事務局)インターネット上の著作権侵害コンテンツ対策に関するワーキンググループ委員(2010年1月〜6月)

- 三菱総合研究所(総務省受託業務)「IPネットワークにおける電気通信事故分析・対策及び品質測定方法・管理手法に関する検討会」 委員(2009年12月1日〜2010年4月30日予定)

- 電気通信サービス向上推進協議会」「責任分担検討WGオブザーバ(現在に至る)

- (株)三菱総合研究所、総務省受託業務「ネットワークのIP化に対応した電気通信事故分析・対策に関する検討会」 委員(2009年1月〜6月)

- 総務省電気通信サービス利用者懇談会構成員

- 総務省情報通信政策研究所「海外情報通信判例研究会」構成員(現在に至る)

- 独立行政法人 情報通信研究機構「次世代IPネットワーク推進フォーラム」IP端末部会・責任分担モデルWG長(現在に至る)

- 同上、責任分担モデルWG&固定・移動シームレスSWG合同会合リーダー(現在に至る)

- 総務省「IP化時代の通信端末に関する研究会座長代理

- 財団法人 電気通信端末機器審査協会(JATE)「IP端末検討会」構成員

- 総務省「ユビキタスネット社会の制度問題検討会構成員

- 総務省「電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会委員

- 警察庁「総合セキュリティ対策会議委員

- モバイル社会研究所「迷惑通信に関する電気通信事業者の責務:法律・制度論 研究会」委員

- 情報ネットワーク法学会 元理事(元発起人)

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賠償責任と、無責任と、抑止 〜Liability, Irresponsibility, and Deterrent〜」(総務省IP化時代の通信端末に関する研究会第8回研究会プレゼン資料)の追補

筆者が座長代理を務める総務省「IP化時代の通信端末に関する研究会」の第8回研究会2007年5月22日に開催され、筆者は以下のプレゼンテーションを行いました。

賠償責任と、無責任と、抑止

以下、その追補を参考までに随時記載して行きます。

参考資料

プレゼン資料に関連する参考資料は以下の通り。

Doug Lichtman & Eric Posner, Holding Internet Service Providers Accountable, in MARK F. GRADY & FRANCESCO PARISI, THE LAW AND ECONOMICS OF CYBERSECURITY 221, 221-58 (2006, Cambridge Univ. Press).

これは最も参考なった論文です。「法と経済学」を用いた分析が秀逸です。尤もこの著者達はサイバー法の専門家ではないので、前提事実の把握に於いて弱い部分が見られるのは止む終えないかもしれません。なお、上の論文の非常に簡潔な邦文による紹介は、以下の拙稿を参照下さい。

平野晋 「サイバー法と不法行為(サイバー・トーツ)in『総合政策研究(中央大学)』15号95頁、110頁(2007年3月30日、中央大学出版部).

なお以下も、「EFR: Encourage Free Radicals 」という概念と、彼等に対する間接責任の理論を理解するのに有用でした。

Mering de Villiers, Free Radicals in Cyvberspace: Complex Liability Issues in Information Warfare, 4 NW. J. TECH. & INTELL. PROP. 13 (2005).

以下は、IP化時代の通信に於いて、最も問題になると推察されるソフトウエアの責任問題を考察する為に有用でした。

Robert W. Hahn & Anne Layne-Farrar, The Law and Economics of Software Security, 30 HARV. J. L. & PUB. POL'Y 283 (2006).

以下は、既に現存しているIP化時代通信である「VoIP」の安全問題を論じていました。(尤も以上の論文程には参考にはなりませんでしたが。)

Emily Frye & Gregory Staiti, Hold the (Internet) Phone! The Implications of Voice-over-Internet Protocol (VoIP) Telephony for National Security & Critical Infrastructure Protection, 1 A JOURNAL OF LAW AND POLICY FOR THE INFORMATION SOCIETY  571 (2005, Ohio State Univ.).

以下は、サイバースペースに於ける間接責任を論じています。(尤も余り参考にはなりませんでしたが。)

Ronald J. Mann & Seth R. Belzley, The Promise of Internet Intermediary Liability, 47 WM & MARY L. REV. 239 (2005).

以下の拙書(共著)内の、「サイバー・ガヴァナンス」論の項目は、安全を確保すべき網と、自由な網との区別を説いているDavid R. Johnson & David G. Post達の説を紹介している部分が参考になります。

平野晋&牧野和夫 『(判例)国際インターネット法』 62-78頁 (1998年、名文図書・プロスパー企画).

なお、プレゼン資料全体に亘って最も関連性のある参考文献は、やはり以下の拙書です。(「不法行為法」の原理や、「法と行動科学(認知心理学)」の法理、および、「法と経済学」的な不法行為法分析等を理解する為に有用です。)

平野晋 『アメリカ不法行為法-主要概念と学際法理』(2006年10月、中央大学出版部).

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以下も追加資料として参考になりそうです。

Michael L.  Rustad & Thomas H. Koenig, The Tort of Negligent Enablement of Cybercrime, 20 BERKELEY TECH. L. J. 1553 (2005).

これは、現状のソフトウエアがその陳腐な内容ゆえに外部化された被害発生を許しているにも拘わらず、シュリンクラップ・ライセンス契約等の附合契約によって免責されている現状が望ましくないとして、不法行為責任を認定すべきであると主張する論文です。

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スライドへの追補

スライド#3への追加コメント: 「CBA」(費用便益分析)は、公共政策に於いて国家予算の効率的配分を行う為にアメリカでは一般的に用いられている概念です。

スライド#6への追加コメント: 運転者に飲酒を許容した酒場は、その行為により「利益」を享受しています。しかも許容させないという防止策を容易に採り得る立場に居るので、当該危険を「管理」している立場でもあります。そして飲酒運転が生むヒガイシャ=bystandersは「innocent」(落ち度無し)なので、「一方的危険」(unilateral risk)が発生した場合であると捉えられます。すなわち間接責任が認容されるこの場合の主要な要素(要件)は、「利益」+「管理」+「一方的危険/innocentなヒガイシャ」です。運転者への飲酒の許容という望ましくない「活動レベル」への抑止を間接(無過失的)責任を課すことによって実効させることになります。 / 職務遂行「外」の場合には雇用主が使用者責任を逃れる理由は、その場合の従業員の行為は「管理」外な範疇であるし、更にはそのような従業員のプライベートな領域に対して迄も雇用主が責任を課されれば従業員のプライバシーに雇用主が介入することを奨励してしまうからです。法はそのようなプライバシーへの介入を奨励したくないはずです。なお使用者責任が無くてもヒガイシャは、雇用主がカガイシャたる従業員の選任・監督に於いて過失と因果関係があった旨を立証できれば雇用主に責任を課し得ますけれども、そのような立証要件を省くことが使用者責任の効果です。(これはあたかも製造上の欠陥に適用される無過失製造物責任が過失立証を省略させる効果を有することと同じです。) この使用者責任は、従業員の選任・監督に於いて使用者が注意を払うように奨励する(注意レベルへの)効果のみならず、そもそも事業活動に伴い無過失であっても不可避的に生じるような種類の事業の損失を「内部化」させることにより該活動自体を市場から駆逐したり減少させたりして抑止するという「活動レベル」への抑止効果も得られます。 / 間接責任が認容されるべきその他の例としては、自動車運行者がヒガイシャに課した損失を自動車所有者が負わされたり、モール運営者が店子の加害行為に対して「名板貸し」責任を課されたり、ラジオのDJがB地点へ最初に到達した視聴者にプレゼントを贈呈すると報じた為に無謀な若者達の暴走行為と通行人への交通事故被害を誘発した場合に間接責任を負ったり、銃を加害行為や自傷行為に乱用しそうな者に販売した者が間接責任を負ったりするという例が挙げられます。(最後の例は、アメリカ製造物責任法に於ける「ミスマッチ・マーケティング」の類型になります。製品自体は欠陥ではなくても、売ってはいけないカテゴリーの買主に該製品を「売った行為」自体が有責事由になる訳です。) なお「attractive nuisance」の法理は、第三者の行為に対する間接責任というよりも、むしろ、ヒガイシャ(子供)自身の寄与過失を否定して、ヒガイシャの寄与を誘発させた危険な施設を放置した所有者・占有者に責任を課す法理です。

スライド#7への追加コメント: 垂直統合な場合には、one-stop shoppingであるが故にエンド・ユーザは携帯電話会社に直接クレームを付ければ問題が解決し、秩序が保たれています。gatewayたる携帯電話会社も、自らに降り掛かる責任問題を抑止する為に、怪しい泡沫企業の参入を事前に阻止してくれています。 しかし、自由化になれば、泡沫企業も参入して来て不可避的に無秩序になってしまいます。PCインターネット通信の世界のようになってしまうのです。その為に自由化の世界では、BRM(ベスト・リスク・ミニマイザー)への間接責任制度を導入して、抑止策を採るようなincentive(誘因)が必要になる訳です。 / 間接責任への抵抗勢力から予想される抗弁としては、そもそもmal-feasorを「管理」することは困難である云々という主張が予想されます(e.g., インターネットに於けるISPの主張が良い例です)。 しかしそのような抗弁には疑いを抱くべきです。∵管理・抑止制度の構築を促すことこそが間接責任の目的だからです。従って、例えば業界水準(industorial std.)を遵守していたから云々という抗弁は許容すべきではありません。∵業界水準自体が法の求める防止策よりも劣っている虞が高いからです。 / コンピュータ・ウイルス・ワクチンの予防接種は、参加者の全員が行わなければ効果が薄れて、現実世界に於ける「はしか」流行のような高額な「社会的費用」(social costs)が生じてしまいます。従って予防接種の判断を参加者各自の自治に任せずに、協力解に至るように仕向けることこそが望ましいのです。coordinateする上でBRMな者にこそ管理させしむるべきかもしれません。そのようなBRMが事業者であれば、事業者は責任を最小限化する為にワクチン接種をしていないエンド・ユーザの使用を認めない云々という措置を採ることが期待され、これにより接種していない参加者を排除して社会的費用を抑えることが可能になるのです。 / 管理し、かつ利益を享受する者は、間接責任を問われるべきです。

スライド#8への追加コメント: ログ保存は大変な負荷ではありますが、真実解明やヒガイシャ救済には不可欠な証拠でもあります。その保存を事業者に促す為には、たとえば立証責任を事業者に「転換」して、反証しない限り有責であるとすれば、事業者は無責を立証する為に最適なログ保存をすることになるでしょう。最適とは、有責になるコストよりも低い限りは限界コストに至るまでログ保存をするように促されるという意味です。 / 経済政策的には垂直統合な大型レストラン・モールによる市場支配よりも、自由に屋台が開業できる町並みの方が好ましいとしても、だからと言って屋台が保健所の検査や安全規制から免責されて良いということになってはなりません。BRMが実質的な免責を付与されているインターネットの現状は無責任状態なのです。

スライド#9への追加コメント: 事前的な行政規制や認証制度が必要なのは、高額な「取引費用」の存在等の「市場の失敗」要因が存在する為に自然状態のままでは協力解に至らないから、これを矯正する必要性が存在するからです。例えばマルチ・ベンダーなソフトをエンド・ユーザが自由にインストールできる端末が現れて来た場合(経済政策上の「自由化」はそれを求めている訳ですが)、泡沫企業も含む無数のソフトベンダ同士と端末メーカが協力解に自発的に至るとは考え難いのです。プレーヤーの数が多過ぎる上に、各自が利己的・戦略的に行動するでしょうから、取引費用が高過ぎてしまうからです。

スライド#12への追加コメント: 「クリップラップ」を巡る争点で問題なのは、「真の同意」が欠如しつつ一方的に不利益を課されてしまう点にあります。

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Good Samaritan的な救助義務を課す法規範の方が好ましいという「法と経済学」的分析

筆者は「賠償責任と、無責任と、抑止」に於いて、mal-feasorsによる加害行為(cyber-pests)の損失に関し、IP通信の関係者に間接責任を課すべきであると提案しました。この筆者の主張を支持する分析として、赤の他人を低コストで救助できる場合には救助義務を課した方が望ましいという以下の分析が参考になります。

DONALD WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION 175-78 (2006, Cambridge Univ. Press).

なお、以上の「善きサマリア人」法と、「作為・不作為」(mis-feasance v. non-feasance)のルールについては、拙書『アメリカ不法行為法-主要概念と学際法理』(2006年10月、中央大学出版部)を参照下さい。

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ベスト・リスク・ミニマイザーに間接責任を課す根拠としては、「ラスト・クリア・チャンス」の法理や、「損失軽減義務」の法理も援用可能

「ラスト・クリア・チャンス」(the last clear chance)とは、不法行為法の中の「寄与過失」(contributory negligence)やπ側の非行・過誤の論点に属する法理です。事故・被害発生原因に於いてたとえπ側に過誤があったとしても、発生直前に剔、にこれを回避できる機会があったならば、凾ヘ責任を免れないとする法理です。 その理由は、コモン・ロー(判例法)的にはπに酷な寄与過失の法理からπを救出する為に編み出されたと言われています。(拙書『アメリカ不法行為法-主要概念と学際法理』____頁参照。)  しかし法と経済学的には、たとえπが惹起させた事故・被害であったとしても、もし事故発生に対して凾ェ安価な費用でその発生回避可能であったならば回避義務を課した方が効率的で望ましいという理論的整理が可能になります。
「損失軽減義務」(duty of mitigation of loss)とは、契約法の中の損害賠償の範囲を巡る論点に属する法理です。契約違反を侵した凾ナあってもπに生じた全ての損害に対して迄も賠償責任を負うことはなく、その範囲は通常予見可能な範囲+特別に知り得た範囲に限定されています。(Hadley v. Baxendale判例参照。) この法理はすなわち、πにも損失を軽減する義務が課されているということになります。これはコモン・ロー(判例法)上の法理ですが、結果的には法と経済学の法理に一致したルールになっています。すなわち、より安価に事故回避に貢献できる者こそが回避義務を負う方が効率的であるという法理と、損失回避義務は一致するのです。 See, e.g., DONALD WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION ___ to ___ (2006, Cambridge Univ. Press).

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マスコミ等に於けるインターネット法・サイバー法関連の筆者の発言等

- 2006年12月13日の朝日新聞(夕刊、関西版)の10面に、小生のコメントが掲載されました。ウィニー刑事事件(著作権侵害幇助罪)京都地裁判決に関してのコメントです。

- 2006年922日(金曜)夜7時の「NHKニュース7(セヴン)」内の著作権保護期間延長に関する報道に於いて、筆者のコメントが放映されました。 

- 2006年9月25日(月曜)朝10時からの文化放送「くにまる・アカデミー」に於いて、筆者がゲスト出演し、「サイバー法」を解説しました。

- 2006年6月7朝日新聞』号・朝刊の13面「オピニオン」欄に、個人情報保護法に関する見解が掲載されました。

- 2001年11月7日日経産業新聞」掲載の、筆者がNTTドコモ社長等と共に行った記者会見の模様の記事「迷惑メール配信拒否: ドコモ、あて先不明多発で判断」に於いて、筆者のコメントが掲載されました。

- 2001年10月30日、「Asian Wall Street Journal」紙の「DoCoMo Wins Injunction against Firm Sendintg E-Mails」の記事の中に於いて、筆者のコメントが掲載されました。

- 2001年3月23日、(財)電気通信普及財団第16回電気通信普及財団賞(テレコム社会科学賞)奨励賞を、拙書『電子商取引とサイバー法』(1999年、NTT出版)が受賞しました。

- 2000年5月韓国特許庁が同庁に於ける研究用に、拙書『電子商取引とサイバー法』(1999年、NTT出版)の韓国語訳版をパブリッシュしました。

- 2000年5月1日『ASAHIパソコン』265号15頁に於いて、「司法省対マイクロソフト社」独禁法違反事件に関する筆者のコメントが掲載されました。

- 1999年8月23日『週刊 東洋経済』に於いて、社内電子メールのプライバシーの問題に関する筆者のコメントが掲載されました。

- 1999年8月15日日本経済新聞」朝刊に於いて、拙書電子商取引とサイバー法』(1999年、NTT出版)の書評が掲載されました。

- 1998年7月8日「日本経済新聞」夕刊生活家庭欄に於いて、社内電子メールの監視問題に関する筆者のコメントが掲載されました。

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インターネット法・サイバー法とは

サイバー法の定義、対象分野等に関しては、以下の論考を参照。

日本に於ける唯一のサイバー法に関する法律学会は、以下。

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インターネット法に係わる「サイバースペース」とは

評者の前掲文献参照。他には、以下も。

平野晋 & 牧野和夫 著『(判例)国際インターネット法』36〜39頁(名文図書・プロスパー企画1998年)

以下の指摘も興味深い。

「サイバースペース」という語はには、「新しい」空間という言外の意味以外にも、「現実」空間から劇的に異なるために伝統的な政府の規制から免除され得るという言外の意味も含まれている。

出典: Blavin & Cohen, Note,  Metaphors in Law and Commentary, infra, at 275(訳は評者).

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語源と「サイバー・パンク」 --- ウイリアム・ギブソンによるSF小説の世界

  拙書にて紹介して来た通り、「サイバースペース」の語源は、ウイリアム・ギブソン氏のSF小説『ニューロマンサー』(1984)に出て来る概念に由来します。そこでは、これまで殆ど誰も思い描かなかったような世界、すなわち「人々が電子網、サイバースペース、そしてマトリックスに繋げることで、データ泥棒と神経移植が氾濫する世界」を描いています。

  1994年迄には、「サイバースペース」がインターネットとWWWにより形成される新しい世界を表す短縮語になって行きました。

  以下、ウイリアム・ギブソン氏の著名作品群です。

Fragments of a Hologram Rose」(1977)in 『UnEarth』 / 『Johnny Mnemonic』in『Omni』(1981)(『運び屋ジョニー』、映画「JM」(キアヌ・リーヴス+ビートたけし)) / 『Burning Chrome』(1982) / 『Nueromancer』(1984) / なおTVシリーズ「Xファイル」向にも二作品分の脚本を書いています。

  ウイリアム・ギブソン氏は最初に、「Fragments of a Hologram Rose」(1977)in 『UnEarth』誌を発表してヴァーチャル・リアリティな世界観を紹介しています。

  サイバースペース」の造語に辿りつく迄の候補としては「インフォスペース」(infospace)や、「データスペース」(dataspace)という語もありました。

  将来の世界は、ヴァーチャル・リアリティと広範囲に相互接続された電子網が規範となる世界になる、と彼は表現しています。

  ウイリアム・ギブソン氏は「サイバー・パンク」というSF小説のサブ・ジャンルの旗手であり、「インターネットのオーウエル」(Owell of the Internet)と呼ばれています。「サイバー・パンク」は、工学技術と無政府主義とボヘミアンを特徴とし、ギブソンはこれを「M&M(Modems and Mohawks)」と呼びました。

  ウイリアム・ギブソン氏が頭に描いていた世界は、正に映画「ブレード・ランナー」(1982)にあった、それは2019年のサイバーパンクのビジョンである、と氏は述懐しています。

  ウイリアム・ギブソン氏の世界観は、後の映画「Matrix」三部作に多大な影響を与えました。

出典: LAMBERT, THE INTERNET: BIOGRAPHIES, infra, at 109-13.

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「サイバー」という語の語源

  1940年代に、MITの科学者Norbert Weinerが、コントロール・システムの研究を表現する為に造語した言葉「サイバーネティックス」(cybernetics)が語源です。それはギリシャ語に由来し、その意味は「舵取り」(steersman)です。

出典: LAMBERT, THE INTERNET: BIOGRAPHIES, infra, at 111.

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First Up-Loaded on Jan. 21, 2005.

インターネット法・サイバー法学の歴史的変遷

未だ新しいサイバー法学に於いても既に歴史的な変遷・変化が見られます。

インターネットが一般化した当初のサイバー法は、未だ、サイバースペースをreal worldとは異なる空間としてその独自性、独立性を主導するような文化的言動がサイバー法学者にも影響を与えていたようです。すなわち、「サイバー・ガヴァナンス」とか「サイバースペースのセルフ・ガヴァナンス」等といった論文がパブリッシュされ議論されました。

例えば、前掲拙書(共著)『(判例)国際インターネット法』29頁、38〜39頁、49〜50頁が紹介しているように、EFF(Electronic Frontier Foundation:電子的フロンティア財団)創設者の一人ジョン・ペリー・バーロー(John Perry Barlow)が「サイバースペースの独立宣言」を発表したり、商業利用を嫌悪したりして、やはり同書の第二章「サイバースペースの自主的統治」(特に66頁以降)が紹介しているように、デヴィッド・ジョンソン&デヴィッド・ポストが論文「サイバースペースに於ける法の出現」等を発表してそれに関する議論が発展したりしました。
この時代のサイバー法学を「ロマンス」であった、と評する面白い論文もあります。すなわち、90年代前半に於ける「ネットワークの大衆哲学者」(pop philosophers of network)がサイバースペースの特殊性を説き、企業利益や商業的需要とは隔絶されるべきだと主張。更には「創造性の共有地」(a "commons" for creativity)とか、持つ者と持たざる者との間のデジタル隔絶(digital devide)を終わらせるべき...といった今日まで続くロマンチックな見方がインターネットで主張されたと指摘しています。真実を言い当てている興味深い指摘ではないでしょうか?   Michael J. Madison, The Narratives of Cyberspace Law (Or. Learning from Casablanca), 27 COLUM. J.L. & ARTS 259, 264-65 (2004)(映画「カサブランカ」の物語をサイバースペースと比較して後者を分析する論文).

しかし、次第にインターネットがそれまで以上に大衆化し、特殊な技能の持ち主でなくても普通の人々が日常ツールとして使うようになって来ると、もはや、サイバースペースのreal space化というべき見方が主流になって来ます。すなわち、サイバースペースでの諸問題は結局はreal worldの人々に影響を与えているのだから、両者を区別したり前者を特殊な独立的存在としてとらえるべきではない、といった主張が幅を利かせる訳です。  See, e.g., Blavin & Cohen, Metaphors in Law and Commentary, infra.

例えば、やはり前掲拙書(共著)『(判例)国際インターネット法』68〜69頁が紹介しているように、ラリー・レッシグ教授が論文「サイバースペースの領域」に於いて、サイバースペースでの諸問題がreal worldに居る現実の人々に悪影響を与える現象などを指摘してジョンソン&ポストを批判したりし始めます。

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ジョン・ギルモアと、「ネットは検閲をダメージと看做し、これを迂回する。」

  名言「the Net treats censorship as damage and routes around it」で有名な、サイバースペースに於ける反権力的・自由主義的思想のリーダーが、ジョン・ギルモア氏です。

  プログラマーで、サンマイクロ・システム社の最初(5番目)の従業員。株式公開により資産家になり、表現の自由とソフトウエアの自由と暗号技術の自由の活動に資金を提供。

   サイバースペースの為の最初の公民権団体である「EFF (Electronic Frontier Foundation)」の設立者の一人。共同発起人はMitch Kapor(元Lotus社の創業者・トップ)やJohn Perry Barlow(カウボーイなネチズン、後掲参照)。  / '80年代には「FSF(Free Software Foundation)」で活動 --- リチャード・ストールマンが主導した、ソフトには著作権を付与すべきではないという思想のオープン・ソース・ソフトウエア(フリー・ソフトウエア)の為に、幾つかのプログラムを書いています。

   ハッカーの権利やネチズンの権利の擁護の為に活動。

出典: LAMBERT, THE INTERNET: BIOGRAPHIES, infra, at 115-19.

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ジョン・ペリー・バーロー

  牧場主で作詞家(「グレイトフル・デッド」の作詞)。「デジタル開拓地(digital frontier)」としてのインテーネットの意味を問い続けている思想家。官憲による捜査(Sun Deil作戦)を受けた経験から、デジタル世界に於ける人権擁護の必要性を感じる活動家となり、Mitch Kapor(元Lotus社の創業者・トップ)達と共にEFFを立ち上げました。

  『Wired』誌に「思想の経済(The Economy of Ideas)」を発表し、著作権法の教材として多く取り上げられています。

出典: LAMBERT, THE INTERNET: BIOGRAPHIES, infra, at 8-14.

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セカンド ライフ」とは

アメリカでは早くも「セカンド ライフ」に関する裁判事例も公表され、そこに於いて定義も示されているので、以下、紹介しておきます。

[A] multiplayer role-plaing game set in the virtual world[FN1] known as "Second Life."[FN2] Participants create avatars[FN3] to represent themselves, and Second Life is populated by hundreds of thousands of avatars, whose interactions with one another are limited only by the human imagination.[FN4]
[FN1] The virtual world at issue here is an interactive computer simulation which lets its participants see, hear, use, and even modify the simulated objects in the computer-generated environment. See Woodrow Barfield, Intellectual Property Rights in Virtual Environmnets: Considering the Rights of Owners, Programmers and Virtual Avatars, 39 AKRON L. REV. 649, 649 (2006) (defining virtual world).
[FN2] Second Life is hosted at http://secondlife.com.
[FN3] The term "avatar" derives stymologically from the Sanskrit word for crossing down or descent and was used originally to refer to the earthly incarnation of a Hindu deity. Webster's II New Riverside University Dictionary 141 (1998). Since the advent of computers, however, "avatar" is also used to refer to an Internet user's virtual representation of herself in a computer game, in an Internet chat room, or in other Internet fora. See Wikipedia, Definition of Avatar, available at http://en.wikipedia.org.
[FN4] Judge Richard A. Posner has apparently made an appearance in Second Life as a "blading bespectacled cartoon rendering himself" where he "addressed a crowd of other animated characters on a range of legal issues, including property rights in virtual reality." Alan Sipress, Where Money Meets Virtual Reality, the Jury Is Still Out, Washington Post, Dec. 26, 2006, at A1.

Bragg v. Linden Research, Inc., 487 F.Supp.2d 593, 595 (E.D.Pa. 2007).

上の法廷意見の引用文中の脚注#3の最後の出典表示に見られるように、「Wikipedia」を「アバタ」の定義として出典表示していることは、「硬い」法律の世界としては驚くべきことのように思われます! 流石、サイバー法を扱う判例は、因習的な法律業界の中でも「進んでいる」と云えるのかもしれませんね。

ところで、上の法廷意見の引用文中の脚注#4で指摘されているように、「法と経済学」で高名なR.ポズナー判事がセカンド ライフに登場したという事象については、以下の欄を参照下さい。

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『ABAジャーナル』誌2008年10月号で「セカンド ライフ」上の法曹協会結成が紹介されました。

後掲Podgersの記事が掲題の紹介をしているので、以下で紹介しておきます。

"Second Life"とは、"an Internet site that allows people to socialize through virtual proxies
「現実世界」のことを"physical world"と呼ぶ。
"avatar"とは、"a computerized alter ego."
Second Lifeの特徴は、それが"mimic life in the physical world"であり、...

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R.ポズナー判事が「セカンド ライフ」に登場?!

2006年12月に、R.ポズナー判事がセカンドライフに登場し、アバタ達の群集に向かって、適正手続とその他の諸権利を保障することがリンデンの実験の利益になると力説したと伝えられています。

Farnaz Alemi, An Avatar's Day in Court: A Proposal for Obtaining Relief and Resolving Disputes in Virtual World Games, 2007 UCLA. J.L. & TECH. 6, 92 (2007); Bettina M. Chin, Note: Regulating Your Second Life: Defamation in Virtual Worlds, 72 BROOKLYN L. REV. 1303, 1315 (2007) (同旨).

なお、以下で出典表示されていたポズナー判事とのインタビュー記事に、アクセス可能でした...。(Visited on Oct. 13, 2008 JST).

Internet Interview with Richard A. Posner, Judge, 7th Circuit Court of Appeals, in Second Life on Dec. 7, 2006 available at <http://www-news.uchicago.edu/citations/06/061211.posner-secondlife.html > cited in MichPassman, Comment: Transactions of Virtual Items in Virtual Worlds, 18 ALB. L.J. SCI. & TECH. 259, 262 n.8 (2008).

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上のインタビュー記事に拠れば、ポズナー判事は以下のような示唆に富む見解を述べています。
「...。 現実世界のお金がヴァーチャル世界に投資されるように成れば、紛争を解決したり、財産権を保障したり、契約を強制したり、知的財産権を保障したり等々の、法に似た規範が必要に成るであろう。 ...。」
「もしあなたが島を購入すれば、物理的な財産権に相当するものを有する。もしあなたが着衣をデザインすれば、知的財産権を有するか或いは有するべきである。 ...、私のアバタのスーツの選択肢が限られていることに私は気が付いた。――セカンドライフでは紳士服の事業機会が在るのかもしれない。」
[IRSがセカンドライフのようなヴァーチャル世界に於ける所得税を検討しているという問に対して]「私は著書『ECONOMIC ANALYSIS OF LAW』の最新改訂版に於いてその問を挿入しておいたよ。その答を私は知らないけれども。」
「通貨は法貨(legal tender)であれば通常の意味での正当性を有する。即ちそれを支払いの手段としてあなたは拒否できないのである。だからあたなはヴィアーチャル世界でも正当な貨幣を持つことは出来る。しかし、あなたは外の世界の人々に、物や役務の支払としてヴァーチャル世界の貨幣を受領するよう強制することは出来ない。」
「私が言ったのは、プライバシーが諸刃の剣ということである。つまりあたなは他人から隠れたいと望むけれども、他人は自分にとって透明であって欲しいと望むのである。だからそれは誤魔化し的な性格(manipulative characters)を有している。匿名性はその問題の良い例である。それは保護を与えてくれるけれども、同時にそれは欺く為に使われ得るのである。...。」(強調付加)

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First Up-Loaded on Jan. 19, 2005.

インターネットやケータイは、文化を堕落させるのでケシカランのか?

当たり前ですが、答えは「No」です。

負の面が出てくると、短絡的な大衆心理はすぐに、媒体を攻撃の対象にしがちです。

しかし、社会科学的な冷静さを持って状況を分析すれば、媒体が責めを負うべきでは無いということが判明します。

インターネットもケータイも、媒体であり道具に過ぎません。例えば製造物責任法の研究をして来た筆者のアナロジーで行けば、ナイフが危ないからと言って、ナイフで小学生を大量虐殺した責めをナイフ・メーカー等に帰することはおかしい、と普通の人でも理解できます。

更に、インターネットやケータイも、ナイフ同様にそれ自体を責めることで問題解決すべきではないという理由を、以下でいくつか紹介してみましょう。

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First Up-Loaded on Jan. 19, 2005.

インターネット法に係わる歴史的なエンピリカル・スタディーズ的視点からのアナロジーによる分析

グーテンベルグによる活版印刷の発明は、多くの人に情報を伝達する「一対多」な媒体の革命的なものであったとい言われています。

インターネットも、同様に革命的な媒体であると言われています。

そしてグーテンベルグによる活版印刷は、聖書の印刷、普及に貢献し、宗教革命にも貢献したという、効用面・利点ばかりが、歴史教育で教えられます。

しかし、効用面ばかりが教えられるグーテンベルグの活版印刷も、調べてみると驚くことに、その出現後直ぐに、猥褻図画の印刷にも用いられた、と指摘されています。

出典: See, e.g., Marty Rimm, Marketing Pornography on the Information Superhighway: A Survey of 917,410 Images, Descriptions, Short Stories, and Animations Downloaded 8.5 Million Times by Consumers in Over 2000 Cities in Forty Countries, Provinces, and Territories, 83 GEO. L.J. 1849, 1909 & n. 139 (1995) (以下を出典として示しつつ。John Tierney, Porn, The Low-Slung Engine of Progress, N.Y. TIMES, Jan. 9, 1994, at B1);  Anne Wells Branscomb, Internet Babylon? Does the Carnegie Mellon Study of Pornography on the Information Superhighway Reveal a Threat to the Stability of Society?, 83 GEO. L.J. 1935, 1936 & n.5 (1995) (以下を出典として示しつつ。Jay Hamburg, Coming Soon: The World, ORLANDO SENTINEL, Oct. 9, 1994, at A14 (comparing the proliferation of pornography on the Internet to the first mass printing of pornography following Johann Gutenberg's invention of the printing press circa 1445)).

人間の性というのはそのようなもので、新たな媒体が出現すると、最初にはそのような用途にもっぱら使われることが、歴史的に実証されています。

しかし活版印刷は、そのような用途の使用にとどまらず、後に、聖書や学術図書などの普及に貢献した訳です。

今や普通の知性の持ち主ならば、活版印刷を責める者は居ないでしょう。

インターネットでも、同様なことが起こった訳です。

ケータイに於いても同じです。

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First Up-Loaded on Jan. 19, 2005.

インターネット法に係わる法と経済学的な危険効用基準を当てはめた分析

utilitarianな倫理に由来して社会全体の富の最大限化を善とする法と経済学(law & economics)的な視点から分析すれば、例えば、インターネット/ケータイが社会にもたらす効用と、それにかかる/そこから生じる費用損失に比べて、前者が上回れば、それは社会に望ましいという結論になります。

上のような分析の一種には、危険効用基準:risk-utility balancing analysis)と呼ばれる有名なものもあります。製品の危険性よりも効用性が上回っているか否かを検討しようという手法です。

インターネット/ケータイを危険効用基準に当てはめれば、そこから生じる濫用等の損失よりも、そこから得られる利便性等の効用の方が凌駕していると解せるので、インターネット/ケータイは社会効用を増す媒体であると結論できます。

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First Up-loade on Aug. 26, 2005.

インターネット法に係わる法と認知科学∞法と行動主義経済学的な立場から人の誤謬を指摘 

シカゴ大学教授のSunsteinは、法と行動科学経済学に於いて説得力のある業績を数々発表していますが、中に以下のような一節があります。

人々がある種の活動に対する法規制を歓迎する場合、それは該活動には[危険性を補なうような]効用面があることを人々が認識していないことが理由だったりします。そのような場合にはトレードオフな関係がきちっと認識されていないのです。危険性だけが認識され効用面が認識されないのです。本当は効用があるにもかかわらず、認識上の幻影ゆえ、認知的偏見ゆえに(a kind of perceptional illusion, a cognitive bias)、そうなるのです。
人々はloss averse (損失回避的)なので、現状status quoからの損失発生は現状からの利得発生よりも更に望ましくないものと捉えがちです。その結果、新規に持ち込まれた危険性は、それに伴う効用(現状よりも利得)がたとえ非常に大きなものであったとしても、大きな問題があると見られてしまうのです。だから新規の危険性に対してはその危険面ばかりに焦点を当ててしまい、付帯する効用面には焦点を当てないのです。そして問題なのは、危険性だけが認識され効用面が認識されない多くの場合、実際の危険の度合いはとても低かったりするのです。 そこにおいて費用対効用分析を導入すれば、様々な要素が認識上に浮かび上がって来ますから、この[効用面が認識されず隠れてしまうという]問題を矯正することが可能です。

See Cass R. Sunstein, Cognition and Cost-Benefit Analysis, 29 J. LEGAL STUD. 1059, 1068 (2000) (有限な資源の中で安全性向上を図るためには、人間が認知科学的に非効率な判断をおかすことを認識し、費用対効果・危険効用分析を用いることが有用であると分析・主張している論文です).

この指摘は、ケータイのような新規で人類に有用な機器にも当てはまるのではないでしょうか?すなわち、そのような新規な機器に於いて、負の面が発生した場合(たとえば迷惑メール現象)、人々はついつい機器の効用面を忘れて負の面ばかりが強く認知される虞があり、そうすると忘れられた効用面を潰してしまいかねない法規制の要求につながるおそれもあるように、評者には感じられます。

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ケータイやインターネットが従前の現実世界のコミュニティを破壊させるという言説

確かに日本でも最近見受けられる現象を説明できるような、以下のような分析がアメリカには既にあるので、参考になります。

会ったことも無く顔の無い人々(faceless people they have never met)とコミュニケートするためにメタフォリカルな情報ハイウエイに飛び乗る人々が増えるのと同時に、人々は地元の地域社会を捨て去ることになる。人々は、面と向かった(face-to-face)個人的な相互作用(personal interaction)に時間を割くよりも、むしろ擬似社会的オンラインな努力に時間を割くのである。人々は地域社会よりもしばしばファン・クラブや特定利益団体に近い電子的社会のために、物理的な相互作用に富んだ地理的地域社会を捨て去るのである。

出典: Clay Calvert, Regulating Cyberspace: Metaphor, Rhetoric, Reality, and the Framing of Legal Options, 20 HASTINGS COMM. & ENT. L.J. 541, 562 (1998) (訳は評者).

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First Up-Loaded on Jan. 19, 2005 revised on Jan. 20, 2005.

インターネット法・サイバー法に対するメタファー(喩え、比喩)の影響

サイバー法の一つの特徴は、様々なメタファーがサイバー法形成に影響を与えている点にも見い出せます。

メタファーがサイバー法に影響を与える理由は、そもそも先例の無いサイバースペース上の法を創造するためには他の分野からのアナロジー(類推)を多用するので、その際に、real worldに於ける似た現象をメタファーとして用いてサイバースペース上の現象とルールを説明・構築して行く、ということに因ると思われます。

この評者の分析を裏付ける指摘は、例えば以下のハーバード・ロースクールのノート論文にも見い出せます。

法律が未だ予期していない新しい工学技術に裁判所が直面したとき、適切な法的ルールを当てはめるに際して、類推的な論理(analogical reasoning)に依拠することがとても重要な役割を果たしている。

出典: Jonathan H. Blavin, & I. Glenn Cohen, Note, Gore, Gibson, and Goldsmith: The Evolution of Internet Metaphors in Law and Commentary, 16 HARV. J. L. & TECH. 265 (2002) (訳は評者) (ネットに於ける「information superhighway」「cyberspace」等のメタファーに着目し、当初はゴア元副大統領の「... highway」というメタファーが幅を利かしていたけれども、次第に「cyberspace」なメタファーが幅を利かして現実世界との違いやCyber-Governance(サイバースペースの自主的統治)な主張を生んだけれども、その後、インターネットが特殊技能者のみの扱う特権的・排他的なものから普及に伴う一般化と日常化に因ってサイバースペースを特殊で神秘的な領域と見る見解が批判にさらされると伴に衰退して行き、結局はサイバースペースも現実空間であるという方向性の中で、裁判例でもreal spaceのメタファー、例えばpropertyに於けるtrespass、が適用されるような幅を利かすようになって来た、と分析する論文) .

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なお、法律学に於ける「メタファー」の意味については、「法と文学」のページ中の「James Boyd White著『LEGAL IMAGINATION』の主張」の項を参照下さい。

First Up-Loaded on Jan. 19, 2005.

『1984』に描かれる「ビッグ・ブラザー」な全体主義は、もはや現実的ではないのか?

サイバースペースに於ける文化や諸活動あるいはサイバー法に於いて非常に多く見受けられるメタファーの一つに、ジョージ・オウエル著『1984』に登場する「ビッグ・ブラザー」があります。情報化社会が、人々を支配して恐ろしいtotalitarian(全体主義的)な体制になることを警告するような文脈に於いて、ビッグ・ブラザーのメタファーが多く見られるのです。たとえば、無線ICタグ(RFID)はビッグ・ブラザーな社会につながるから危険である、という反対運動等のような文脈に於いてです。

しかし、『1984』の描くようなtotalitarianな体制を現代西側社会ではもはや再現しないと批判する指摘が、不法行為法で高名なリチャードA.アプシュタインの論文中に以下のように見られるのは興味深いことです。

『1984』に於いてオーウエルは、国家が情報や工学技術を独り占めすると主張する。しかし、安価で極小化された工学技術によるコミュニケーションの向上は、中央[政権]の権力を支えるよりも、むしろ、その根幹を危うくすることは、インターネットが出現する前から明らかになっていたのである。『1984』では超監視社会が力の無い個人を繰り返しプロパガンダで責め立てる様が表されているけれども、逆に、自由欧州ラジオ(radio free Europe)とか、地下新聞とか、ウエブなどの反体制な力については描いていないのである。
『1984』は読み継がれるだろうけれども、totalitarianな体制をもはや許容しない現代西側陣営社会の現状に照らしてみれば、それは歴史的な意味で読まれるに過ぎず、我々の将来を占う意味を有してはいない
出典: Richard A. Epstein, Does Literature Work As Social Science? The Case of George Orwell, 73 U. COLO. L. REV. 987, 1010-11 (2002) (訳は評者)(下線付加).

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First Up-Loaded on Jan. 20, 2005.

インターネット法・サイバー法に於けるメタファーの例

information superhighway   global village   cyberspace    place   virtual community     commons   creative commons   public forum   open space   wild west      giant photocopier   frontier   marketplace

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インターネット法・サイバー判例要旨集(「連載インターネット法判例」掲載判例名インデックス)

当ウエブサイト作者が、『国際商事法務』誌に於いて、1998年から10数年にわたって毎月欠かさず執筆・連載しているインターネット法・サイバー裁判例のリストです。

1998年 / 1999年 / 2000年 / 2001年 / 2002年 / 2003年 / 2004年 / 2005年 / 2006年 / 2007年 /2008年 / 2009年 / 2010年 / 2011年 / 2012年 / 2013年 / 2014年 / 2015年 / 201n年

1998年 『際商』 26

第1回 「BlumenthalDrudgeおよびAmerica Online, Inc.事件判決」 26巻6号648−49頁(1998年6月)Sidney & Jacqueline Bluementhal v. Matt Drudge and America Online, Inc., Civil Action No.97-1968 (PLF)(インターネット・サービス・プロバイダーはコンテンツ・プロバイダーによる名誉毀損に対して責任を負わないと判示).
第2回 「ProCD, Inc. v. Zeidenberg事件判決」 26巻7号756−57頁(1998年7月)ProCD v. Zeidenberg, 86 F.3d 1447 (7th Cir. 1996) (Easterbrook, J.)(シュリンクラップ・ライセンス契約の有効性を認定する代表判例).
第3回 「Smyth v. Pillsbury Co.事件判決」 26巻8号8号868−69頁(1998年8月)Michael A. Smyth v. The Pillsbury Company, 914 F.Supp 97 (E.D.Pa. 1996)(社内電子メールのプライバシーを否定する代表判例).
第4回 「Feist Publication, Inc. v. Rural Tel. Serv. Co.事件判決」 26巻9号974−75頁(1998年9月)Feist Publication, Inc. v. Rural Telephone Service Company, 490 U.S. 340 (1991)(データベースの排他的独占権を否定する代表判例).
第5回 「SEGA Enetrprises Ltd. v. Accolade, Inc.」 26巻10号1098−99頁(1998年10月)SEGA Enterprises Ltd. v. Accolade, Inc., 977 F.2d 1510 (9th Cir. 1992)(コンピューター・プログラムのフェア・ユースに関する代表判例).
第6回 「R.T.C. v. Netcome事件判決」 26巻11号1212−13頁(1998年11月)Religious Technology Center and Bridge Pubulications, Inc. v. Netcom On-line Communication Services Inc., Dennis Erlich, and Tom Klemesrud, 907 F.Supp. 1361 (N.D.Cal. 1995)(ユーザーによる著作権侵害に対してISPが無過失責任を負わないという代表判例).
第7回 「Panavision Int'l L.P. v. Toeppen」 26巻12号1330−31頁(1998年12月)
Panavision International, L.P. v. Dennis Toeppen and Network Jrx Solutions, Inc.,  _____ F.3d _________ (9th Cir. 1998)(「ドメイン・ネーム」先取による商売が商標反稀釈法違反とされた代表判例).

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1999年 『際商』 27

第8回 「NBA v. Motorola, Inc.」 27巻1号90−91頁(1999年1月)The National Basketball Association and NBA Properties, Inc. v. Motoroa, Inc., Sports Team Analysis and Tracking Systems, Inc. ("STATS"), 105 F.3d 841 (2d Cir. 1997) (「ホット・ニュース」の使用について不正競争防止関連代表判例).
第9回 「CompuServe Inc. v. Cyber Promotions Inc.」 27巻2号210−11頁(1999年2月)CompuServe Inc. v. Cyber Promotions Inc., and Sanford Wallace, No.C2-96-1070 (S.D.Oh. 1997) (スパミング(電子ダイレクト・メール)が不法行為になると解釈された代表事例).
第10回 「M. A. Mortenson Co., Inc. v. Timberline Software Corp. et al.」 27巻3号336−37頁(1999年3月)M.A. Mortenson Co., Inc., v. Timeberline Software Corp. et al.,  970 P.2d 803 (Wash. App. Div.1, 1999) (シュリンクラップ・ライセンスの責任排除条項(disclaimer)を有効であると判断した最新判例).
第11回 「Cybersell, Inc. v. Cybersell, Inc.」 27巻4号454−55頁(1999年4月)Cybersell, Inc. v. Cybersell. Inc. et al., 130 F.3d 414 (9th Cir. 1997) (受動的なウエブ・サイトの開設だけでは対人管轄権行使が認められないとされた代表判例).
第12回 「Barrett v. Sherrell et al.」 27巻5号590−91頁(1999年5月)Barret v. The Catacombs Press, James R. Privitera, Alan Stang, Darlene Sherrell, and CDS Networks, Inc., Civil No.99-736 (E.D.Pa. 1999)(メーリング・リストでの名誉毀損でも対人管轄権行使が認められないとされた最新判例).
第13回 「Ben Ezra, Weinstein v. AOL」 27巻6号714−15頁(1999年6月)Ben Ezra, Weinstein & Co. v. America Online Inc., No. CIV 97-485 (D.N.Mex. 1999)(誤った株価情報に対してISPは免責されると判断された最新事例).
第14回 「Recording Indus. Ass'n of Am v. Diamond Multimedia Sys.」 27巻7号852−53頁(1999年7月)Recording Industry Association of America, Alliance of Artists and Recording Companies v. Diamond Multimedia Systems inc., No.98-56727 (MP3を用いた「Rio」がデジタル録音装置に対する制約に服さないと判断とされた最新事例).
第15回 「Groff v. AOL」 27巻8号980−81頁(1999年8月)Lawrence Groff v. America Online, Inc. File No. C.A. No. PC 97-03331, 1998 WL 307001 (R.I. Superior Ct. May 27, 1998) (クリックラップ契約における法廷地選択条項が有効であると判断され州判例).
第16回 「Playboy. v. Netscape and Excite」 27巻9号1112−13頁(1999年9月)Playboy Enterprises, Inc. v. Netscape Communications Corp., and Excite, Inc., SA CV 99-320 AHS (C.D.Cal. 1999)(検索用語に応じたバナー広告を検索エンジンのサーチ結果ページに出す仕組みにおけるキーワードと商標に関する事例).
第17回 「In re Laurence A. Canter」 27巻10号1248−49頁(1999年10月)In re Lawerence Canter, Docket No. 95-831-O-H  (Tennessee Supreme Ct., _____)(弁護士の宣伝をスパミングして懲戒処分になった事例).
第18回 「Tasini v. New York Times」 27巻11号1376−77頁(1999年11月)Jonathan Tasini, Mary Kay Blakely, Barbara Carson, Margot Mifflin, Sonia Jaffe Robbins, and David S. Whitford v. The New York Time Inc. Magazine Co., Mead Data Central Corp., and Universty Microfilms International, Docket Nos. 97-9181, 97-9650 (2d Cir. 1998) reversed 972 F.Supp. 804 (S.D.N.Y. 1997)(フリーランス・ライターの著作権を雑誌社が許諾なく電子的データベースに転載できないと判断された事例).
第19回 「Lockheed v. NSI」 27巻12号1506−07頁(1999年12月)Lockheed Martin Corporation v. Network Solutions, Inc., No. 97-56734-DDP (ANx) (ドメイン・ネーム登録機関たるNSI社には商標の寄与侵害責任がないと判断された事例).

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2000年 『際商』 28

第20回 「U.S. v. Debeir事件」 28巻1号116−17頁(2000年1月)United States of America v. Georgges Debeir, ____ F.3d _____, (4th Cir. 1999)(サイバー・ストーカーへの量刑が低すぎると判示された事例).
第21回 「Lunney v. Prodigy事件」 28巻2号240−41頁(2000年2月) Alexander G. Lunney v. Prodigy Services Co., 1999 LEXIS 3746 (NY Ct. of App. )(電子メールと電子掲示板に於ける名誉毀損に対してISPには責任なしとされた事例).
第22回 「Church of Scientology v. Karin Spaink, Dataweb et al.事件」 28巻3号374−75頁(2000年3月) Religious Technology Center, et al v. Karin Spaink, Dataweb, B.V. et al., Case List Number 96/1048 (The District Court of the Hague, Civil Law Sector, Chamber D, 1999)(著作権違反なサイトへのリンクさえも侵害にあたると示唆されたオランダの事例).
第23回 「Sporty's Farm v. Sportsman's Market事件」 28巻4号504−05頁(2000年4月) Sporty's Farm LLC.v. Sportsman's Market, Inc., ____ F.3d _____, (2d Cir. 2000)(サイバースクワッタを禁止する米国の新法を適用した最初の控訴審判例).
第24回 「Kelly v. Arriba Soft Corp.」 28巻5号636−37頁(2000年5月) Leslie A. Kelly et al v. Arriba Soft Corp. et al., 77 F.Supp.2d 1116 (C.D.Cal. 1999)(画像検索エンジンは公正使用であり、DMCA上の著作権管理情報保持義務違反にもあたらないと判断).  当事件の控訴審の行方については、後掲連載第47回、および101回参照。
第25回 「McLaren v. Microsoft Corp」 28巻6号768−69頁(2000年6月) Bill McLaren, Jr. v. Microsoft Corporation, 1999 Tex.App. LEXIS 4103 (1999)(社内端末を用いた従業員の電子メールを会社が勝手に検索してもプライバシー侵害にあたらないと判断).
第26回 「eBay, Inc. v. Bidder's Edge, Inc.」 28巻7号898−99頁(2000年7月) eBay, Inc. v. Bidder's Edge, Inc., 2000 U.S. Dist LEXIS 7287 (N.D.Cal. 2000)(許可なくロボットを使ってオークション・サイトをモニター等することは権利侵害に該当する蓋然性があると判断).
第27回 「Unauthorized Practice of Law Committee v. Parsons Technology, Inc.事件」 28巻8号1018−19頁(2000年8月) Unauthorized Practice of Law Committee v. Parsons Technology, Inc., 1999 U.S. Dist LEXIS 813 (N.D.Tex. 1999)(インタラクティヴな契約書式集ソフト販売が非弁活動ゆえに違法とされた事例).
第28回 「Sony v. Connectix Corp.事件」 28巻9号1152−53頁(2000年9月) Sony Computer Entertainment, Inc. v. Connectix Corp., _____ F.3d __________ (9th Cir. 2000)(リバースエンジニアリングにおける著作物の複製・使用が適法とされた事例).
第29回 「John Does v. Franco Productions事件」 28巻10号1286−87頁(2000年10月) John Does 1 through 30 inclusive, and Unknown Illinois State University Football Playoers v. Franco Productions, Dan Franco, individually and d/b/a/ Franco Productions et al., _____ F.Suup __________ (N.D. Ill. 2000)(ホスティング・サービスも免責されると判断とされた事例).
第30回 「Urofsky v. Gilmore事件」 28巻11号1416−17頁(2000年11月)Melvin I. Urofsky, Paul Smith, Brain J. Delaney, Dana Heller, Bernard H. Levin, Terry L. Meyers v. James S. Gilmore, Ill, in his capacity as Governor of the Commonwealth of Virginia, 167  F.3d 191 (4th Cir. 1999)(役所の端末で地方公務員が猥褻サイトへアクセスすることを禁じた制定法が合憲とされた事例).
第31回 「__________ v. _________」 28巻12号________−____頁(2000年12月)The Putnam Pit, Inc. and Geoffrey Davidian v. City of Cookeville, Tennessee and Jim Shipley, 2000 FED App. 0235P(6th Cir.)(…とされた事例).

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2001年 『際商』 29

第32回 「Soma Medical Int'l v. SCB事件」 29巻1号114−15頁(2001年1月)Soma Medical International v. Standard Chartered Bank and Leonard D. Fong, 196 F.3d 1292 (10th Cir. 1999)(パッシヴ・ウエブ・サイト等のみでは国際裁判管轄権の行使が認められないとされた事例).
第33回 「Ticketmaster Corp. v. Tickets.Com, Inc. [I]」 29巻2号244−45頁(2001年2月)Ticketmaster Corp. v. Tickets.Com., Inc., 2000 U.S.Dist.LEXIS 12987 (C.D.Cal. 2000)), 2000 WL 1887522 (C.D.Cal. Aug. 10, 2000) (ウエブサイトから情報収集プログラムで情報収集して利用しても暫定的差止めを認めないとされた事例)(「I agree」というアイコンへのボタン押し(click)が要求されていなかった為に暫定的インジャンクションが認められなかった事例). 本件のもう一つの下級審判断は、前掲連載第61回参照。
第34回 「A & M Records v. Napster事件」 29巻3号374−75頁(2001年3月)A& M Records et al. v. Napster, Inc., Nos. 00-16401 & 16403, D.C. Nos. CV-999-05183-MHP & CV-00-00074-MHP (9th Cir. 2001)(ナップスターへの暫定的差止命令が支持(一部修正)された事例).
第35回 「FTC v. Netscape事件」 29巻4号502−03頁(2001年4月)Federal Trade Commission v. Netscape Communications Corp., 196 F.R.D. 559, 2000 U.S.Dist.LEXIS 7870 (N.D.Cal.) (加入者情報の開示をトライアル前ディスカバリーにおいて政府機関は強要できないとされた事例).
第36回 「Gucci American Inc. v. Mindspring Enterprisese事件」 29巻5号638−39頁(2001年5月)Gucci America, Inc. v. Hall & Associates, Denise Hall, and Mindspring Enterprises, Inc., 2001 U.S.Dst.LEXIS 2627 (S.D.N.Y.) (ISPへの免責法理が商標権等の侵害へは及ばないとされた事例).
第37回 「Ferguson v. Friendfinder事件」 29巻6号774−75頁(2001年6月)Mark Ferguson for himself and for all others similaly situated v. Friendfinder, Inc., Andrew B. Conru, Conru Interactive, Inc., and Does 1 to 50, No. 307309 (Cal. Super. Ct., June 2, 2000) (Order sustainning defendant's demurrer without leave to amend)(「迷惑メール」規制州法と州際通商条項との関係).
第38回 「State of Washington v. Heckel」 29巻7号896−97頁(2001年7月)State of Washington v. Jason Heckel d/b/a Natural Instincs, No. 69416-8 (Supereme Court of the State of Washington, June 7, 2001)(迷惑メール規制州法が合憲であると判断された最新判例).
第39回 「Earthlink Network, Inc. v. Cyber Promotions, Inc.事件」 29巻8号1022−23頁(2001年8月)Earthlink Network, Inc. v. Cyber Promotions, Inc., and Does 1 to 200, No. BC 167502 (Cal.Super.Ct. L.A. County, Mar. 30, 1998)(迷惑メール送信業者(スパマー)がISPへの賠償金支払に応じた同意判決例).
第40回 「America Online, Inc. v. Web Communications et al.」 29巻9号1150−51頁(2001年9月)America Online, Inc. v. Web Communications et al., Civil Action No. 98-289A (May 10, 2000) (E.D. Virginia) (迷惑メール送信業者に対する損害賠償と差止請求事件).
第41回 「America Online, Inc. v. National Health Care Discount, Inc.」 29巻10号1278−79頁(2001年10月)America Online, Inc. v.  National Health Care Discount, Inc., No. 98-4111-PAZ (Aug. 20, 2001) (N.D. Iowa)(迷惑メールの依頼主に対しても賠償責任と差止めが認定された事件).
第42回 「America Online, Inc. v. LCGM, Inc.」 29巻11号1022−79頁(2001年10月)America Online, Inc. v. LCGM, Inc. et al., 46 F.Supp.2d 444, 1998 U.S.Dist.LEXIS 20144 (E.D. Virginia, 1998)(発信元を「なりすまし」た迷惑メール送信者からの責任が認定された事件).
第43回 「Barrett v. Clark」 29巻12号1544−45頁(2001年12月)Stephen J. Barrett, M.D., Terry Polevoy, M.D., and Christopher E. Grell v. Hilda Clark, Tim Bolen, Ilena Rosenthal et al., 833021-5 (Superior Court of California in and for the County of Alameda) (Order Granting Defendant's Special Motion to Strike)(July 25, 2001)(CDA230条の免責がISPのみならずユーザにも適用された事件).

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2002年 『際商』 30

第44回 「DVD Cory Control Association v. Bunner」 30巻1号112−13頁(2001年1月)DVD Copy Control Association v. Andrew Bunner, 113 Cal.Rptr.2d 338 (Cal.Ct.App. 2001)(プロテクション解除方法の公開に対し暫定差止が否認された事件).
第45回 「Intel v. Hamidi」 30巻2号256−57頁(2002年2月)  Intel Corporation v. Kourosh Kenneth Hamidi, 114 Cal.Rprtr.2d 244 (Cal. Ct.App. 2001)(従業員宛の大量電子メール送信に対して差止命令が認容された事件). 本件の上告審は、後掲連載第6263回参照。
第46回 「Yahoo! v. LICRA [I]」 30巻3号402−03頁(2002年3月)Yahoo!, Inc. v. La Ligue Contre Le Racisme Et L'Antisemitisme (LICRA), a French assosiation et al., 169 F.Supp.2d 11181 (N.D.Cal. 2001)(フランス裁判所命令の米国内での執行を否定した事件). 第九巡回区の控訴審判断は、後掲連載第77回を参照。
第47回 「Kelly v. Arriba Soft Corp.(控訴審判決)」 30巻4号550−51頁(2002年4月)Leslie A. Kelly, an individual, dba Les Kelly Publications, dba Les Kelly Enterprises, dba Show Me The Gold v. Arriba Soft Corporation, an Illinois Corporation, 280 F.3d 934 (9th Cir. 2002) (画像検索エンジンのフェア・ユース判決を一部認容、一部破棄した事件). 本事件の原審である地裁事例は、前掲連載第24回、28巻5号____−___頁(2000年5月)参照。当控訴審事件を覆した第九巡回区自身の更なる判断(控訴審やり直し判決)は、後掲連載第101回、34巻10号(2006年10月)参照。
第48回 「Missouri v. American Blast Fax, Inc.」 30巻5号708−09頁(2002年5月)State of Missouri ex rel. Nixon v. American Blast Fax, Inc. et al., 196 F.Supp.2d 920, 2002 U.S.Dist.LEXIS 5707 (E.D.Mo. Mar. 13, 2002)(ファックスによる広告を禁じた連邦法を違憲とした事件). 本事件を覆した控訴審事例は、後掲連載第59回、31巻4号588−89頁(2003年4月)参照。
第49回 「Destination venture v. FCC」 30巻6号858−59頁(2002年6月)Destination Ventures v. FCC, 844 F.Supp. 632 (D.Or. 1993) , aff'd., 46 F.3d 54 (9th Cir. 1995) (ファックス広告を禁じた連邦法を合憲であるとした事件).
第50回 「Carafano v. Metrosplash.com, Inc.」 30巻7号1012−13頁(2002年7月)Christianne Carafano (aka Chase Masterson) v. Metrosplash.com, Inc., Lycos, Inc., Matchmaker.com, Inc., and Bradley R. Tyer, 2002 U.S.Dist.LEXIS 10614 (C.D.Cal. 2002) (出会い系サイトにはCDA§230免責が及ばないとされた事件).
第51回 「Moser v. FCC」 30巻8号1160−61頁(2002年8月)Kathryn Moser, National Association of Telecomputer Operators v. Federal Communications Commission, James H. Quello, 46 F.3d 970 (9th Cir. 1995)(自動/録音音声によるメッセージ伝達のための架電を禁じた連邦法規制を合憲とした事件).
第52回 「Smith v. Chase Manhattan Bank」 30巻9号1306−07頁(2002年9月)Timothy P. Smith et al. v. Chase Manhattan Bank, USA, N.A. et al., 293 A.D.2d 598, 741 N.Y.S.2d 100 (N.Y.App.Div. 2002) (個人情報の第三者売却に関して特定した損害額の主張を欠く訴えを棄却した事例).
第53回 「United States v. Slania」 30巻10号1464−65頁(2002年10月)United States of America v. Wesley Joseph Slanina, 283 F.3d 670 (5th Cir. 2002)(公務員の業務用パソコンを礼状なしに捜索差押しても合憲だと判断された事件).
第54回 「United States  v. Angevine」 30巻11号1616−17頁(2002年11月)United States of America v. Eric Angevine, 281 F.3d 1130 (10th Cir. 2002), cert.denied, 2002 U.S.LEXIS 6338 (公務員の業務用パソコンでダウンロードした資料にプライバシー権がないと判断された事件).
第55回 「Verizon v. Ralsky」 30巻12号1762−63頁(2002年12月)Verizon Online Services, Inc. v. Alan Ralsky et al., 203 F.Supp.2d 601 (E.D. Va. 2002)(州外のスパマーに対する管轄権を肯定した事件).

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2003年 『際商』 31

第56回 「Aronson v. Bright-Teeth Now L.L.C.」 31巻1号134−35頁(2003年1月)Aronson  v. Bright-Teeth Now L.L.C., 57 Pa.D & C. 4th 1, 2002 Pa. D. & C. LEXIS 30 (電話消費者保護法はスパムに適用されないと解釈された事件).
第57回 「Attorney General v. The Free Speech Coalition」 31巻2号282−83頁(2003年2月)John D. Ashcroft, Attorney General et al.  v. The Free Speech Coalition et al, 535 U.S. 234 (2002)(「ヴァーチャル」児童ポルノ禁止法を違憲と判断した連邦最高裁判決).
第58回 Eldred v. Ashcroft」 31巻3号434−35頁(2003年3月) Eric Eldred et al.  v. John D. Ashcroft, Attorney General, 123 S.Ct. 769, 154 L.Ed.2d 683, 2003 U.S.LEXIS 751 (2003)(いわゆる「ミッキーマウス訴訟」の連邦最高裁合憲判決). 著作権保護期間延長法の違憲性が争われた、いわゆる「ミッキーマウス訴訟」連邦最高裁判所判決である。
第59回 「Missouri v. American Blast Fax, Inc.(控訴判決)」 31巻4号588−89頁(2003年4月)State of Missouri ex rel. Nixon v. American Blast Fax, Inc. et al., ____F.3d ____, 2003 U.S.App.LEXIS 5469, 2003 WL 1391192 (8th Cir. Mar. 21, 2003) rev'g. 196 F.Supp.2d 920 (E.D.Mo. 2002)(ファックス商業広告禁止連邦法違憲判決を覆し合憲とした事件). 本件の原審は、前掲連載第48回参照。
第60回 「Green v. AOL」 31巻5号740−41頁(2003年5月)John Green v. America Online, John Does 1 & 2, 318 F.3d 465, 2003 U.S.App.LEXIS 750(第三者のコンテンツに対しISPが免責された事件: スパムを排除してもCDA§230により免責と判断).
第61回 「Ticketmaster v. Tickets.com [II]」 31巻6号890−91頁(2003年6月)Ticketmaster Corp. v. Tickets.Com., Inc., 2003 U.S.Dist.LEXIS 6483 (C.D.Cal. 2003), 2003 WL 21406289 (C.D.Cal.) (スパイダーによる情報収集・事実情報利用やディープ・リンクが合法と判断された事件. 「ブラウズラップ契約」の有効な成立・条件の拘束力を否定せず 本件のもう一つの下級審判断は、前掲連載第33回参照。
第62回 Intel v. Hamidi」 31巻7号1042−43頁(2003年7月) Intel Corporation v. Kourosh Kenneth Hamidi, 2003 Cal.LEXIS 4205 (Cal.June 30, 2003)(従業員宛大量電子メール送信に対する差止命令を覆す判例). 非商業的な迷惑メールの差止命令を覆したカリフォルニア州最高裁判所判決である。 本件の原審は、前掲連載第45回参照。
第63回 Intel v. Hamidi(反対意見)」 31巻8号1194−95頁(2003年8月) 同上 (前掲紹介の判決中の反対意見). 僅差であった前回法廷意見に対する反対意見の紹介である。 本件の原審は、前掲連載第45回参照。
第64回 「Thrifty-Tel. Inc. v. Bezenek」 31巻9号1350−51頁(2003年9月)Thrifty-Tel, Inc.  v. Myron Bezenek et al., 46 Cal.App.4th 1559, 54 Cal.Rptr.2d 468 (1996) (trespass to chattels法理をサイバースペースに適用したリーディングケースとされた事例).
第65回 「Gillman v. Sprint」 31巻10号1500−01頁(2003年10月) Terry Gillman v. Sprint Communications Co., L.P. and et al., No. 020406640 (Utah 3d Dist. Salt Lake County Feb. 28, 2003) (ユタ州スパム規制法は送信者と関係のあった受信者に対してまで保護が及ばないと解釈された事例).
第66回 「U-Haul v. WhenU.Com」 31巻11号1648−49頁(2003年11月) U-Hall Internatinal, Inc. v. WhenU.Com, Inc. et al., 2003 U.S.Dist.LEXIS 15710 (E.D. Virginia, 2003)(競合他社サイトの上に映し出されるポップアップ広告が知的財産権侵害にあたらないと解釈された事例).
第67回 「Rossi v. MPAA」 31巻12号1790−01頁(2003年12月)Michael J. Rossi d/b/a/ Internet-movie.com  v. Motion Picture Assoociation of America, Inc. et al., 2003 U.S.Dist.LEXIS 12864 (D.Hawaii, 2003)(DMCAに基づくISPへのnoticeの前に違反事実の調査は不要と解された事例).

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2004年 『際商』 32

第68回 「Carafano v. Matchmaker.Com, Inc.」 32巻1号118−19頁(2004年1月)Christiane Carafano, d/b/a/ Chase Masterson v. Metrosplash.com, Inc.; Lycos, Inc.; and Matchmaker.com, Inc., 339 F.3d 1119, 2003 U.S.App.LEXIS 16548 (9th Cir. 2003)(出会い系サービス業者もCDA§240免責の射程範囲内であると解された事例).
第69回 「RIAA v. Verizon Internet Services, Inc.」 32巻2号264−65頁(2004年2月)Recording Industry Association of America, Inc. v. Verizon Internet Services, Inc., 2003 U.S.App.LEXIS 25735 (D.C.Cir. 2003)(導管にすぎないISPにはDMCAに基づく会員情報開示義務が及ばないとされた事例).
第70回 「Batzel v. Smith」 32巻3号402−03頁(2004年3月)Ellen L. Batzel v. Robert Smith, Netherlands Museums Association, Mosler, Inc., Ton Ceremers, 333 F.3d 1018 (9th Cir. 2003)(情報提供者がネット上の情報公開を望んでいたとISPに過失なく理解されていた場合にCDA§240免責の射程が及ぶと解された事例).
第71回 「Mainstream Marketing Services Inc. v. FTC」 32巻4号542−43頁(2004年4月)Mainstream Marketing Services Inc. v. Federal Trade Commission, 2004 U.S.App.LEXIS 2564  (10th Cir. 2004)(勧誘広告"架電お断り全国登録"制度を合憲と解した事例).
第72回 「Gentry v. eBay」 32巻5号676−77頁(2004年5月)Lars Gentry et al. v. eBay, Inc., 121 Cal.Rptr.2d 703, 2002 Cal.App.LEXIS 4329 (Cal.Ct.App. 2002)(偽のサイン入りグッズ販売に対するオークションサイトの責任が否認された事件).
第73回 「A.A. v. State」 32巻6号832−33頁(2004年6月)A.A.; A.B.; A.C. (a minor by M.M. his natural parent); A.D.; A.E.; A.F.; A.G. (all fictious initials) individually and as representatives of a class, pursuant to FED.R.CIV.P. 23(a) and 23(b)(2) v. the State of New Jersey; James McGreevey, in his official capacity as Governor of the State of New Jersey; et al., 341 F.3d 206 (3rd Cir. 2003)(有罪確定性犯罪者住所情報をインターネットで知らせしめるしめる制度が合憲とされた事例. 奈良少女殺害事件で日本でも着目を浴びている、性犯罪者の住所等情報公開に関する「メーガン法」合憲判決の例である。
第74回 「State v. Grochocki」 32巻7号970−71頁(2004年7月)People of the State of Illinois v. David Grochocki, 343 Ill.App.3d 664. 796 N.E.2d 153 (2003)(性犯罪者情報をインターネットで知らせしめるしめる制度が合憲とれた事例(その2). 前回に引き続き性犯罪者の住所等情報公開に関する「メーガン法」合憲判決の例である。
第75回 「United States v. Councilman」 32巻8号1120−21頁(2004年8月)United States of America v. Bradford C. Councilman, 2004 U.S.App.LEXIS 13352  (1st Cir.)(通信途中に蓄積された電子情報を取得しても傍受法違反にはあたらないとされた事例).
第76回 「MGM Studio v. Grokster」 32巻9号1266−67頁(2004年9月)Metro-Goldwyn-Mayer Studios, Inc. v. Grokster Ltd., 2004 U.S.App.LEXIS 17471 (9th Cir.)(グヌーテラ等の分散型P2Pソフト頒布者には寄与・代位責任が及ばないとされた事例). 本件の上告審(連邦最高裁)は、後掲連載第8687回を参照。
第77回 「Yahoo! v. LICRA [II] 」 32巻10号1422−23頁(2004年10月)Yahoo! Inc. v. La Ligue Contre Le Racisme Et L'Antisemitisme, 379 F.3d 1120 (9th Cir. 2004)(米国会社に対するフランス裁判所の罰金付作為命令に対抗し修正第1条違反を理由に米国内での執行不能の確認判決を求めた訴訟において、米国の裁判管轄権がフランス法人に及ばないとされた連邦控訴審の事例). 前掲連載第46回の続きである。
第78回 White Buffalo v. University of Texas [I]」 32巻11号1566−67頁(2004年11月) White Buffalo Ventures, LLC. v. The University of Texas at Austin, 2004 U.S.Dist.LEXIS 19152 (W.D.Tex.) (迷惑メール規制連邦CAN-SPAM法の専占条項の射程がISP自主規制までは及ばないとされた事例).  「迷惑メール規制連邦法」(CAN−SPAM法)の射程を解釈した連邦地方裁判所判決である。 本件の控訴審の結果は、後掲連載第88回White Buffalo II」を参照。
第79回 「CoStar v. LoopNet」 32巻12号1712−13頁(2004年12月)CoStar Group, Inc. v. LoopNet, Inc., 373 F.3d 544 (4th Cir. 2004)(DMCA成立後の仲介者にも「Netcom」判決上の防禦が利用可能だと判断された事例). ISP等の仲介者が真の無過失責任(Strict Liability)を負わされることは無いと判断した「RTC対Netcom」事件(*)の判例法としての効果がDMCA施行以降も有効であると解釈された。Netcom事件判例については、例えば、以下の拙書参照。『電子商取引とサイバー法』前掲, at 167-75頁.

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2005年 『際商』 33

第80回 「Lexmark v. Static Control Components」 33巻1号122−23頁(2005年1月)Lexmark International, Inc. v. Static Control Components, Inc., 387 F.3d 522 (6th Cir. 2004)(著作物以外へのアクセス防止機能を回避してもDMCAが適用されないと判断された裁判例.
第81回 「Fredenburg v. City of Fremont」 33巻2号268−69頁(2005年2月)Jeffrey Garett v. City of Fremont et al., 119 Cal.App.4th 408, 14 Cal.Rprtr.3d 437 (2004) (性犯罪者情報インターネット公表「Megan法」に関する裁判例.
第82回 「Zubulake v. UBS Warburg [(V)]」 33巻3号420−21頁(2005年3月)Laura Zubulake v. UBS Warburg LLC., UBS Warburg, and UBS AG., 2004 U.S.Dist. LEXIS 13574 (S.D.N.Y. 2004)(社内電子メールに保存させるべく弁護士に積極的作為義務を課した決定.
第83回 「Hall v. Earthlink」 33巻4号562−63頁(2005年4月)Peter Hall and Big Bad Productions, Inc. v. Earthlink Network, Inc., 396 F.3d 500 (2d Cir. 2005)(ISPが解除したユーザーのアドレス宛メールを受信し続けても通信傍受禁止法違反に該当しないとされた事例).
第84回 「In re Lowe's Companies, Inc.」 33巻5号710−11頁(2005年5月)In re Lowe's Companies, Inc. and Lowe's Home Centers, Inc., Relators, 134 S.W.3d 876 (Tex. ___, 2003)(ディスカバリーに応じるべきデータベースの開示範囲を限定させた事件. 後掲「電子的開示手続(e-discovery)の研究」の項も参照。
第85回 「In re Honeywell International, Inc.」 33巻6号856−57頁(2005年6月)In re Honeywell International, Inc., Security Litigation, 2003 WL 22722961 (S.D.N.Y. Nov. 18, 2003)(訴外会計監査事務所の電子データも開示対象であるとされた事件). 後掲電子的開示手続(e-discovery)の研究」の項も参照。
第86回 「MGM Grokster」 33巻7号1006−07頁(2005年7月)Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd., 2005 WL 1499402 (U.S.)(セントラル・サーバを用いないP2Pファイル交換ソフト頒布者であっても、著作権違反行為を導いていた場合には有責であると連邦最高裁が判断.  Napstar(ナップスター)と異なり、セントラル・サーバを用いることなくユーザ同士が直接ピア・ツー・ピア(peer-to-peer: "P2P")にファイル交換を可能にするGnutella(グヌーテラ)技術等を用いたソフトウエアの頒布業が、連邦最高裁判所の全員一致判決により、有責であるとされた事件である。
第87回 「MGM Grokster(同意意見)」 33巻8号1156−57頁(2005年8月)Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. v. Grokster, Ltd., 125 S.Ct. 2764 P2Pファイル交換ソフト頒布者の責任に関する同意意見. 特に参考になると思われるBreyer判事の同意意見も紹介ている。
第88回 「White Buffalo v. University of Texas II」 33巻9号1318−19頁(2005年9月)White Buffalo Ventures, LLC. v. The University of Texas at Austin, ___ F.3d _____, 2005 WL 1806353 (5th Cir. (Tex.)(サーバーを守るために迷惑メールをブロッキングしても商業広告規制の合憲性基準を満たさない場合があると指摘した連邦控訴審裁判例 前掲連載第78回White Buffalo [(I)]」の控訴審である。
第89回 「Davidson & Assocs. v. Jung」 33巻10号1460−61頁(2005年10月)Davidson & Associates, d/b/a/ Blizzard Games, Inc. v. Tim Jung; Rob Crittenden, _____ F.3d _______, 2005 WL 2095970 (8th Cir. (Mo.))(DMCAによる保護技術策回避禁止と回避技術取引禁止違反認定を支持した連邦控訴審事例)
第90回 「Coleman v. Morgan Stanley」 33巻11号1596−97頁(2005年11月)Coleman (Parent) Holdings, Inc. v. Morgan Stanley & Co., Inc., 2005 WL 674885 (Fla.Cir. Ct.)(電子メール提出命令違反により高額懈怠評決に至った事例). 後掲「電子的開示手続(e-discovery)の研究」の項も参照。
第91回 「Monotype v. Bitstream」 33巻12号1744−45頁(2005年12月)Monotype Imaging, Inc. v. Bitstream, Inc., 376 F.Supp.2d 877 (N.D. Ill. 2005)(「グロックスター」判例が適用されないと解釈された事例

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2006年 『際商』 34

第92回 「Newborn v. Yahoo!」 34巻1号124−25頁(2006年1月)Terry Newborn v. Yahoo!, Inc. et al., 391 F.Supp.2d 181 (D.D.C. 2005) (検索エンジンは著作権・商標権の寄与侵害にあたらないと解釈された事例).
第93回 「Doe v. XYZ Corp.」 34巻2号270−71頁(2006年2月)Doe v. XYZ Corp., 382 N.J.Super. 122, 887 A.2d 1156 (2005)(企業には従業員のインターネット不正利用防止義務があるとされた事例).
第94回 「Doe v. GTE Corp.」 34巻3号404−05頁(2006年3月)Doe v. GTE Corp., 347 F.3d 655 (7th Cir. 2003)(CDA§230は作為義務から完全免責している訳ではないと解釈した事).
第95回 「Barrett v. Rosenthall」 34巻4号542−43頁(2006年4月)Barrettv. Rosenthal, 9 Cal.Rptr.3d 142 (2004)(CDA§230distributorとしての仲介者責任を免除していないと解釈した事例).
第96回 「Cubby, Inc. v. CompuServe Inc.」 34巻5号682−83頁(2006年5月)Cubby, Inc. v. CompuServe Inc., 776 F.Supp. 135 (S.D.N.Y. 1991) (CDA (通信品位法)§240制定前の仲介者責任代表判例).
第97回 「Cairo, Inc. v.CrossMedia Servs, Inc.!」 34巻6号820−21頁(2006年6月 Cairo, Inc. v. CrossMedia Servs., Inc., 2005 WL 756610 (N.D.Cal. 2005)(「ブラウズラップ・アグリーメント」に於ける法廷地選択条項が有効であるとされた事例).
第98回 「Annette Wise v. Thifty Payless, Inc.」 34巻7号958−59頁(2006年7月)Annette Wise v. Thrifty Payless, Inc., 83 Cal.App.4th 1296 (2000)(訴訟上の個人情報開示の免責特権の射程は、該争訟当事者・参加者以外にまで及ばないとした事例).
第99回 「Sotelo v. DirectRevenue, LLC」 34巻8号1094−95頁(2006年8月)Stephen Sotelo v. DirectRevenue, LLC., 384 F.Supp.2d 1219 (N.D.Ill. 2005)(スパイウエアが不法侵害(trespass)に該当すると解釈された事例).
第100回 「Barnes v. Yahoo!, Inc.」 34巻9号1244−45頁(2006年9月)Barnes v. Yahoo!, Inc., 2005 WL 3005602 (D.Or.)(ミスフィザンスな注意義務違反(失当な行為)にもCDA§230の免責が及ぶとされた事例).
第101回 Kelly v. Arriba Soft Corp」 34巻10号1392−93頁(2006年10月) Kelly  v. Arriba Soft Corp., 336 F.3d 811 (9th Cir. 2003)(画像検索エンジンのフルサイズ画像inline linkの展示権侵害判断を避けた事例).  前掲第九巡回区判断(連載第47回、30巻4号2002年4月)を同控訴審自らが修正。本事件の下級審(連邦地裁)事例は、前掲連載第24回、28巻5号____−___頁(2000年5月)参照。
第102回 「Cisneros v.Sanchez」 34巻11号1536−37頁(2006年11月)Elena Cisneros v. Robert Sanchez, 403 F.Supp.2d 588, 2005 WL 3312631 (S.D. Tex) (発言者でもあるサイト管理者へのCDA§240免責を否定した事例).
第103回 Whitney Information Network v. Verio」 34巻12号1680−81頁(2006年12月)Whitney Information Network, Inc. v. Verio, Inc., 2006 WL 66724 (M.D. Fla.)(CDA§240免責が事業関係に対する不法行為的干渉の請求にも及ぶと解釈された事例).

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2007年 『際商』 35

第104回 「MGM v. Grokster(差戻審)」 35巻1号130−31頁(2007年1月), Metro-Goldwyn-Mayer Studios, Inc. v. Grokster, Ltd., 2006 WL 2806882  (C.D.Cal. 2006)(「誘引原則(inducement doctrine)の適用を認定した事例).
第105回 Pollstar  v. Gigmania Ltd.」 35巻2号276−77頁(2007年2月), Pollstar v. Gigmania Ltd., 170 F.Supp.2d 974 (E.D.Cal. 2000)ブラウズラップ契約」の有効性を扱った最初の事例).
第106回 「Register.com, Inc. v. Verio, Inc.」 35巻3号434−35頁(2007年3月), Register.com, Inc. v. Verio, Inc., 356 F.3d 393 (2d. Cir. 2004).(準「ブラウズラップ契約」の有効性を示唆した第二巡回区の事例.
第107回 Specht v. Netscape Comm'cn35巻4号576−77頁(2007年4月), 306 F.3d 17 (2d Cir. 2002) (ブラウズラップ契約」を無効とした第二巡回区の代表事例).
第108回 Campbell v. Gen. Dynamics Gov't Sys. Corp. 35巻5号726−27頁(2007年5月)407 F.3d 546 (1st Cir. 2005)雇用の変更契約にはクリック等の意思表示が必要とされた事例).
第109回 Boomer v. AT&T35巻6号880−81頁(2007年6月)309 F.3d 404 (7th Cir. 2002) 使用による承諾の意思表示を認めた第七巡回区の事例
第110回 「Hill v. Gateway 2000, Inc.」35巻7号1022−23頁(2007年7月) 105 F.3d 1147 (7th Cir. 1997) (支払後に箱の中から現れる約定が有効とされた代表判例).
第111回 「Motise v. AOL」35巻8号1068−69頁(2007年8月) 346 F.Supp.2d 563 (S.D.N.Y. 2004) (ブラウズラップ契約の事前告知に関する事例).
第112回 「Hubbert v. Dell Corp.」35巻9号1318−19頁(2007年9月) 835 N.E.2d 113 (Ill.App.Ct. 2005) (ハイパーリンクによりアクセス可能な約定が有効とされた事例).
第113回 「Net2Phone, Inc. v. Superior Court」35巻10号1456−57頁(2007年10月) 109 Cal.App.4th 583 (Cal.Ct.App. 2003) (ブラウズラップ契約が有効とされた事例).
第114回 「Martin v. Snapple Beverage Corp.」35巻11号1608−1609頁(2007年11月) 2005 WL 1580398 (Cal.Ct.App. July 27, 1005) (同意のクリック押[おし]ボタンが設定されていればブラウズのみでは契約不成立とされた事例).
第115回SoftMan Prod.  v. Adobe Sys. Inc.」35巻12号1752−1753頁(2007年12月) 171 F.Supp.2d 1075 (C.D. Cal. 2001) (ソフトウエアのインストールを通じて約定への同意を意思表示させる仕組みに於いてはインストールせずに転売する頒布者を約定に拘束できないとされた事例)..

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2008年『際商』 36

第116回 Bar-Ayal v. Time Warner Cable, Inc.」36巻1号128−129頁(2008年1月)2006 WL 2990032 (S.D.N.Y. Oct. 16, 2006) (スクロールして相当量の画面を進まないと契約本文が読めなくても、承諾ボタンをクリックした同意の意思表示を否定することができないとされた事例).
第117回 「i.LAN Sys. Inc. v. Netscout Serv. Level Corp.」36巻2号274−75頁(2008年2月) 183 F.Supp.2d 328 (Mass.D.  2002) (クリックラップ・ライセンスの契約は成立済契約の追加条項なのかが争点となった事例).
第118回 「DeJohn v. The. TV Corp.」36巻3号418−19頁(2008年3月) 245 F.Supp.2d 913 (N.D. Ill. 2003) (クリックラップ・ライセンス契約締結前に「黙示の契約」が成立していた旨の主張を退けた事例).
第119回 「Southwest Airlines Co. v. BoardFirst, L.L.C.」36巻4号550−51頁(2008年4月) 2007 WL 4823761 (N.D. Tex.) (ブラウズラップ契約を知っていれば無効の抗弁が認容されないと判示された事例).
第120回 「DeFontes  v. Dell Computers Corp.」36巻5号688−689頁(2008年5月) 2004 WL 253560 (R.I. Super.) (ブラウズラップ とシュリンクラップを二重に用いた「ラップ型契約」でさえも無効とされた事例).
第121回 「Briceno v. Sprint」36巻6号830−831頁(2008年6月) 911 So.2d 176 (Fla. Dist. Ct. App. 2005) (ウエブ等でアクセス可能な仲裁条項が強制可能とされた事例).
第122回 「Provencher v. Dell, Inc.」36巻7号956−57頁(2008年7月) 409 F.Supp.2d 1196 (C.D.Cal. 2006) (通信販売型PCに付帯する紛争解決条項の有効性を認容した事例).
第123回 「Feldman v. Google, Inc.」36巻8号_1104−05頁(2008年8月) 513 F.Supp.2d 229 (E.D.Pa. 2007) (グーグルの宣伝広告に係るブラウズラップ契約(法廷地条項)の拘束力を肯定した事例).
第124回 「Treiber v. UPS」36巻9号1252−53頁(2008年9月) 474 F.3d 379 (7th Cir. 2007) (クリックラップ契約--責任制限条項--の拘束力を肯定した事例).
第125回 「Bragg v. Linden Research, Inc.」36巻10号1388−89頁(2008年10月) 487 F.Supp.2d 593 (E.D.Pa. 2007) (「セカンド・ライフ」のクリックラップ契約―仲裁解決条項―の強制力を否定した事例).
第126回 「Riensche v. Cingular Wireless, LLC」36巻11号1522−23頁(2008年11月) 2006 U.S. Dist. LEXIS 93747  (W.D. Wash. 2006) (クリックラップ契約―仲裁解決条項―の手続的非良心性は否定しつつも、クラス・アクションを認めない条項ゆえに実体的非良心性を認めた事例).
第127回 「Int'l Star Registry of Ill. v. Omnipoint Mktg., LLC」36巻12号1666−67頁(2008年12月) 2006 U.S. Dist. LEXIS 68420  (N.D. Ill. Sept. 6, 2006) (ウエブ上の約定(法廷地選択条項)に言及しているインボイスへの署名によりその有効性を認めた事例).

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2009年『際商』 37

第128回 「Affinity Internet, Inc. v. Consolidated Credit Services, Inc.」37巻1号118−19頁(2009年1月) 920 So.2d 1286 (Fla. Dist. Ct. App. 2006) (ウエブ上の約定(仲裁条項)に「subject to」すると記載されただけの契約書面ではその有効性が認められないとされた事例).
第129回 「Hugger-Mugger, LLC v. NetSuite, Inc.」37巻2号260−61頁(2009年2月) 2005 U.S.Dist. LEXIS 33003 (D. Utha, Sept. 12, 2005) (契約書がウエブ上の約定(法廷地選択条項)を照会し且つクリックラップ形式で同意を表明させていた場合にその有効性を認めた事例).
第130回 「Barnett v. Netwoek Solutions, Inc.」37巻3号404−05頁(2009年3月) 38 S.W.3d 200 (Tex. App. 2001) (ウエブ画面上の約定(法廷地選択条項)をスクロールしなければ同意の意思を表示できないクリック・スルー契約に於いてその強制可能性を認めた事例).
第131回 「Hotels.com, L.P. v. Canales」37巻4号558−59頁(2009年4月) 195 S.W.3d 147 (Tex.App. 2006) (ブラウズラップ契約に関する代表諸先例を検討してクリックラップ契約との区別に触れた事例)
第132回 「People v. Direct Revenue, LLC」37巻5号698−99頁(2009年5月) 862 N.Y.S.2d 816, 2008 N.Y. Misc. LEXIS 5562  (Sup. Ct. Mar. 12, 2008) (ポップアップ宣伝広告のソフトウエアを消費者のPCにインストールさせる際にクリックラップ契約で承諾を意思表示させていた場合にその有効性を認めた事例)
第133回 「A.V. v. iParadigms, LLC」37巻6号844−45頁(2009年6月) 544 F.Supp.2d 473 (E.D. Virginia, 2008) (学生レポートの剽窃発見役務に係るクリックラップ契約の事例)
第134回 「Rosalee Druyan v. Mick Jagger (ミック・ジャガー)」37巻7号998−99頁(2009年7月) 508 F.Supp.2d 228 (「ローリング・ストーンズ」コンサートのキャンセルに係るクリックラップ契約の事例).
第135回 「Douglas. v. District Ct. of Central District of California」37巻8号1134−35頁(2009年8月) 495 F.3d 1062 (9th Cir. 2007) (ウエブ上で告知しただけの変更契約は無効であると解釈した事例).
第136回 「Manasher v. NECC Telecom」37巻9号 1276−77頁(2009年9月) 2007 U.S.Dist.LEXIS 68795 (E.D.Mich. Sept.18, 2007) (請求書がウエブ上の仲裁条項を照会していただけでは告知が不十分とされた事例).
第137回 「Mazur v. eBay Inc.」37巻10号1424−25頁(2009年10月) 2008 U.S.Dist.LEXIS 16561 (N.D.Cal. Mar.4, 2008) (法務アウトソーシング事務所に紛争解決を委ねた条項が非良心的であると解された事例).
第138回 「Brazil v. Dell Inc.」37巻11号 1558−59頁(2009年11月) 2007 U.S.Dist.LEXIS 59095 (N.D.Cal. Aug.3, 2007) (クラス・アクションの権利放棄を含む仲裁条項が実体上の非良心性に該当すると解された事例).
第139回 「Doe v. SexSearch.com」37巻12号 1708−09頁(2009年12月) 502 F.Supp.2d 719 (N.D. Ohio 2007) (出会い系サイトも通信品位法§230の免責を享受でき、且つクリックラップ契約上の責任制限条項も強制可能と解された事例).

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2010年『際商』 38

第140回 「Lenz v. Universal Music Corp.」38巻1号 126−27頁(2010年1月) 527 F.Supp.2d 1150(N.D.Cal. 2008) (YouTubeに対するTakedown notice発出前にfair useを検討する義務が著作権者側にあると解された初めての公表事例).
第141回 「Trujilo v. Apple Computer, Inc. and AT&T Mobility LLC」38巻2号276−77頁(2010年2月) 578 F.Supp.2d 979 (N.D. Ill. 2008) (「iPhone」のケータイ通信役務独占権を有するATTM社の仲裁条項が「Appleストア」では事前に提示されなかった為に強制不可と解された事例).
連載 第142回 「In re Charter Communications, Inc.」38巻3号416−17頁(2010年3月) 393 F.3d 771 (8th Cir. 2005) (DMCA上の発信者情報開示義務は導管に過ぎないISPに迄は及ばないとされた事例).
連載 第143回 「Perfect 10, Inc. v. CCBill38巻4号562−63頁(2010年4月)488 F.3d 1102 (9th Cir. 2007) (DMCAセーフハーバの条件の「"red flag" test」を解釈した代表事例).
連載 第144回 「Corbis Corp. v. Amazon.com, Inc.38巻5号722―23頁(2010年5月)351 F.Supp.2d 1090 (W.D. Washington 2004) (DMCAセーフハーバ条件の「"red flag" test」を解釈したもう一つの代表事例).
連載 第145回 「Intellectual Reserve, Inc. v. Utha Lighthouse Ministry, Inc.38巻6号856―57頁(2010年6月)75 F.Supp.2d 1290 (D. Utha 1999) (「リーチサイト」(indexing website)の寄与侵害の蓋然性を認めた代表事例).
連載 第146回 「Io Group, Inc. v. Veoh Network, Inc.38巻7号1006―07頁(2010年7月)586 F.Supp.2d 1132 (N.D. Cal. 2008) (DMCAセーフハーバ条件の「"red flag" test」を解釈した更なる代表事例).
連載 第147回 「Viacom Int'l v. YouTube38巻8号1164―65頁(2010年8月)2010 U.S Dist. LEXIS 62829 (S.D.N.Y.June 23, 2010) (「"red flag" test」が引き続き狭く解釈された最新有名巨額賠償請求事例).
連載 第148回 「Hendrickson v. eBay, Inc.38巻9号1306―07頁(2010年9月)165 F.Supp.2d 1082 (C.D.Cal. 2001) (オークション・サイトのセーフハーバ免責が初めて連邦裁判所で争われた事例).
連載 第149回 「Independent Newspapers, Inc. v. Brodie38巻10号1460―61頁(2010年10月)407 Md. 45, 966 A.2d 432 (2009) (発信者情報開示の基準を詳細に分析した最近の代表事例).
連載 第150回 「Solers, Inc. v. John Doe38巻11号1608―09頁(2010年11月)977 A.2d 941 (D.C. 2009) (発信者情報開示を巡る代表事例).
連載 第151回 「Grace v. eBay Inc.38巻12号1754―55頁(2010年12月)16 Cal. Rptr. 3d 192 (Ct. App. 2004) (CDA§230がdistributorの責任を免除しないとした事例).

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2011年『際商』 39

連載 第152回 「Ellison v. Robertson39巻1号134―35頁(2011年1月)357 F.3d 1072  (9th Cir. 2004) (代位侵害の要件である「侵害活動から直接に財政的便益を得ている」の意味を解釈した代表事例).
連載 第153回 「Arista Records LLC v. Doe 339巻2号288―89頁(2011年2月)604 F.3d 110  (2d Cir. 2010) (著作権侵害に於ける発信者情報開示基準を示した代表事例).
連載 第154回 「Jesmer v. Retail Magic, Inc.39巻3号442―43頁(2011年3月)55 A.D.3d 171, 863 N.Y.S.2d 737  (App. Div. 2008) (ラップ型契約を見る機会を附与しなかった為に保証責任排除が無効とされた事例).
連載 第155回 「Sony Music Ent. Inc. v. Does 1-4039巻4号596―97頁(2011年4月)326 F.Supp.2d 556  (S.D.N.Y. 2004) (訴外ISPが会員個人情報の開示請求に応じるべき際の基準を示した事例).
連載 第156回 「Harris v. Blockbuster, Inc.39巻5号752―53頁(2011年5月)622 F.Supp.2d 396 (N.D.Tex. 2009) (一方的に約定を何の制約もなく変更可能と規定したクリックオン契約における仲裁条項が強制不可能とされた事例).
連載 第157回 「PDC Laboratories, Inc. v. Hach Company39巻6号904―05頁(2011年6月)2009 U.S. Dist. LEXIS 75378 (C.D.Ill. Aug. 25, 2009) (リンクで読む機会を附与した約定は非良心的ではないとされた事例).
連載 第158回 「Hines v. Overstock.com, Inc.39巻7号1056―57頁(2011年7月)668 F.Supp.2d 362 (E.D.N.Y. 2009) (ブラウズラップ契約の仲裁・紛争解決地条項が無効とされた事例).
連載 第159回 「di Carimate v. Ginsglobal Index Funds.39巻8号1212―1213頁(2011年8月)2009 U.S.Dist. LEXIS 96641 (C.D. Cal. Sept. 30, 2009) (電子メールのやり取りでも変更契約としての強制力を有するとされた事例).
連載 第160回 「Appliance Zone, LLC v. NexTag, Inc.39巻9号1370―1371頁(2011年9月)2009 U.S.Dist.LEXIS 120049 (S.D.Ind. Dec. 22, 2009) (クリックラップ契約の紛争解決条項が強制不可と解された事例).

連載 第161回 「Scherillo v. Dun & Bradstreet, Inc.39巻10号1526―1527頁(2011年10月)684 F.Supp.2d 313 (E.D.N.Y. 2010) (うっかり承諾のクリックを押したと主張しても契約成立と解釈された事例) 

連載 第162回 「Salco Distributors, LLC v. iCode, Inc.39巻11号1686―1687頁(2011年11月)2006 WL 449156 (M.D.Fla. Feb. 22, 2006) (シュリンクラップとクリックラップ等を多重的に組み合わせた契約の有効性を示した事例)

連載 第163回 「Segal v. Amazon.com, Inc.39巻12号1842―1843頁(2011年12月)763 F.Supp.2d 1367 (S.D.Fla. 2011) (前回紹介した事例等を根拠に、シュリンクラップ契約上の法廷地選択条項が有効と判断とされた事例). 

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2012年 『際商』 40 

  連載 第164回 「Centrifugal Force, Inc. v. Softnet Communication, Inc.40巻1号146―147頁(2012年1月)2011 WL 744732 (S.D.N.Y. Mar. 1, 2011) (クリップラップ「変更」契約も有効であると判断された事例).

  連載 第165回 「Barnes v. Yahoo!, Inc.40巻2号314―315頁(2012年2月)570 F.3d 1096 (9th Cir. 2009) (CDA§230は約束的禁反言に基づく責任を免除しないと判断した事例).

  連載 第166回 「Dendrite Int'l, Inc. v. Doe No.340巻3号480―481頁(2012年3月)775 A.2d 756 (N.J.Super.Ct.App.Div. 2001) (ISPに対する匿名加入者の身元開示請求を認める為には、「一応の証拠」基準を含む四要素を満たすことが必要とした代表事例)..

  連載 第167回 「Doe v. Cahill40巻4号648―649頁(2012年4月)884 A.2d 451 (Del. 2005) (ISPに対する匿名加入者の身元開示請求を認める為には、「Dendrite」の四要素基準を修正して、「サマリー・ジャッジメント」に耐え得る二要素を満たせば足りるとした代表事例).

  連載 第168回 「Adobe Systems Inc. v. One Stop Micro, Inc.40巻5号812―813頁(2012年5月)84 F.Supp.2d 1086 (N.D.Cal. 2000) (ソフトウエア契約の多義性と当事者意思を解釈する為に、口頭証拠排除則の例外として、外部証拠を許容した代表事例).

  連載 第169回 「Piper Jaffray & Co. v. SunGard Sys. Int'l, Inc.40巻6号982―983頁(2012年6月)2005 U.S.Dist.LEXIS 7497 (D.Minn. 20105) (口頭証拠排除則と賠償額上限条項を扱った事例).

  連載 第170回 「Sagent Tech., Inc. v. Micros Sys., Inc.40巻7号1132―1133頁(2012年7月)276 F.Supp.2d 464 (D.Md. 2003) (口頭証拠排除則を扱った事例).

  連載 第171回 「APLications, Inc. v. Hewlett-Packard Co.40巻8号1302―1303頁(2012年8月)501 F.Supp. 129 (S.D.N.Y. 1980) (口頭証拠排除則を扱った事例).

  連載 第172回 「Sierra Diesel Injection Serv., Inc. v. Burroughs Corp.40巻9号1458―1459頁(2012年9月)890 F.2d 108 (9th Cir. 1989) (完全合意条項にも拘わらず口頭証拠排除則を適用しなかった代表事例).

  連載 第173回 「Perfect 10, Inc. v. Google, Inc.40巻10号1626―1627頁(2012年10月)653 F.3d 976 (9th Cir. 2010) (著作権侵害に基づく、画像検索エンジンに対する暫定的インジャンクションの要件を示した事例).

  連載 第174回 「Boring v. Google, Inc.40巻11号1780―1781頁(2012年11月)598 F.2d 695 (W.D. Pa. 2009) (グーグルの地図「ストリートビュー」がプライバシー侵害に該当しないと判断された代表事例).

  連載 第175回 「EEOC v. Simply Strage Management, LLC40巻12号1942―1943頁(2012年12月)270 F.R.D. 430 (S.D. Ind. 2010) (フェイスブック等のSNS上のプライバシー情報も開示手続の対象であると裁定した代表事例).

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2013年 『際商』 41

  連載 第176回 「Draker v. Schreiber41巻1号150―151頁(2013年1月)271 S.W.3d 318 (Tex.App. 2008) (他人になりすまして傷付ける偽りのサイトを公開しても精神的苦痛の故意による賦課に該当しないと解釈された事例).

  連載 第177回 「Carafano v. Metrosplash.com, Inc.41巻2号304―305頁(2013年2月)339 F.3d 1119 (9th Cir. 2003) (著名女優がなりすまされてお見合いSNSにプロファイルを投稿されて迷惑を被っても、プロバイダはCDA§230により免責されると解釈された事例).

  連載 第178回 「Doe v. MySpace, Inc.41巻3号466―467頁(2013年3月)528 F.3d 413 (5th Cir. 2008) (未成年者が年齢を偽って性的被害に遭っても、SNSプロバイダはCDA§230により免責されると解釈された事例).

  連載 第179回 「Jones v. Dirty World Entm't41巻4号634―35頁(2013年4月)2012 U.S.Dist. LEXIS 2525 (F.D. Ky. 2012) (権利侵害的書き込みを奨励し且つサイト責任者自身も権利侵害的意見を書き込んでいた場合には、CDA§230免責が及ばないと解釈された事例).

  連載 第180回 「Stratton Oakmont v. Prodigy41巻5号790―91頁(2013年5月)1995 WL 323710 (N.Y.Sup. May 24, 1995) (通信品位法230条が立法される契機となった古典的代表事例).

  連載 第181回 「Fair Housing Council of San Fernando Valley v. Roommates. com, LLC (その1)41巻6号956―57頁(2013年6月)521 F.3d 1157 (9th Cir. 2008) (違法な差別的書き込み・活用に重大な寄与をした不動産仲介サイトには、CDA§230免責が及ばないと解釈された第九巡回区のリーディング・ケース).

  連載 第182回 「Fair Housing Council of San Fernando Valley v. Roommates. com, LLC (その2)41巻7号1104−05頁(2013年7月)521 F.3d 1157 (9th Cir. 2008) (違法な差別的書き込み・活用に重大な寄与をした不動産仲介サイトには、CDA§230免責が及ばないと解釈された第九巡回区のリーディング・ケース).

  連載 第183回 「Fair Housing Council of San Fernando Valley v. Roommates. com, LLC (その3)41巻8号1252―53頁(2013年8月)521 F.3d 1157 (9th Cir. 2008) (違法な差別的書き込み・活用に重大な寄与をした不動産仲介サイトには、CDA§230免責が及ばないと解釈された第九巡回区のリーディング・ケース).

  連載 第184回 「Fair Housing Council of San Fernando Valley v. Roommates. com, LLC (その4)41巻9号1412―13頁(2013年9月)521 F.3d 1157 (9th Cir. 2008) (_●●●___とされた事例).

  連載 第185回 「Fair Housing Council of San Fernando Valley v. Roommates. com, LLC (その5)41巻10号1584―85頁(2013年10月)521 F.3d 1157 (9th Cir. 2008) (違法な差別的書き込み・活用に重大な寄与をした不動産仲介サイトには、CDA§230免責が及ばないと解釈された第九巡回区のリーディング・ケース).

  連載 第186回 「Fair Housing Council of San Fernando Valley v. Roommates. com, LLC (その6・最終回)41巻11号1738―39頁(2013年11月)521 F.3d 1157 (9th Cir. 2008) (違法な差別的書き込み・活用に重大な寄与をした不動産仲介サイトには、CDA§230免責が及ばないと解釈された第九巡回区のリーディング・ケース).

  連載 第187回 「F.T.C. v. Accusearch Inc.41巻12号1900―01頁(2013年12月)570 F.3d 1187 (10th Cir. 2009) (通信履歴等を第三者に入手させるウエブサイトにはCDA§230免責が適用されないと解釈された第十巡回区の代表事例).

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2014年 『際商』 42

  連載 第188回 「Russell v. Implode-Explode Heavy Industries Inc.42巻1号148―49頁(2014年1月)2013 WL 5276557 (D.Md.) (Roommates.com」後にCDA§230免責を解釈した事例).

  連載 第189回 「Chicago Lawyers' Committee for Civil Rights, Inc. v.Craigslist, Inc.42巻2号320―21頁(2014年2月)519 F.3d 666 (7th Cir. 2007) (Easterbrook, C.J.) (イースターブルック主席裁判官が以前に自身が法廷意見を担当した「GTE Corp.」を引用しつつ、CDA§230の制限的免責解釈を示した事例).

  連載 第190回 「S.C. v. Dirty World, LLC.42巻3号486―87頁(2014年3月)2012 WL 3335284 (W.D.Mo. Mar. 12, 2012) (免責否認―CDA・通信品位法§230―の法理の射程を示す事例).

  連載 第191回 「Global Royalties, Ltd. v. Xcentric Ventures, LLC42巻4号●●●―●●●頁(2014年4月)544 F.Supp.2d 929 (D.Ariz. 2008) (免責否認―CDA・通信品位法§230―の法理の射程を示す事例).

  連載 第192回 「Nemet Chevrolet. Ltd. v. Consumeraffairs.com, Inc.42巻5号814頁―15頁(2014年5月)591 F.3d 250 (4th Cir. 2009) (免責否認の法理―CDA・通信品位法§230―に関する第四巡回区の事例)..

 連載 第193回 「Google Spain SL and Google Inc. v. AEPD and Gozalez42巻6号984―85頁(2014年6月)Case C-131/12, Google Spain SL and Google Inc. v. Agencia Espanola de Proteccion de Datos (AEPD) and Mario Costeja Gozalez, Judgmenet of the Court of Justice of European Union (Grand Chamber) of May 13, 2014 (欧州司法裁判所が「忘れられる権利」を認めたとされる事例).

 連載 第194回 「Asia Economic Institute v. Excentric Ventures LLC42巻7号1144―45頁(2014年7月)Asia Economic Institute v. Excentric Ventures LLC, 2011 WL 2469822 (C.D.Cal.) (メタ・タグを用いて検索エンジンに拾われ易くした消費者クレーム投稿サイトにCDA§230免責が認められた事例).

 連載 第195回 「In re. Zappos.com, Inc., Customer Data Security Breach Litigation42巻8号1304―05頁(2014年8月)In re. Zappos.com, Inc., Customer Data Security Breach Litigation, 893 F.Supp.2d 1058 (ブラウズラップ契約の仲裁条項が、承諾不存在や債権債務の双方向性欠如を理由に強制不可能と解釈された事例).

 連載 第196回 「Diverse Elements, Inc. v. Ecommerce, Inc.42巻9号1472―73頁(2014年9月)2014 WL 1100624 (S.D. Fla.) (法廷地選択条項が債権債務の双方向性欠如を理由に強制不能と解釈された事例).

 連載 第197回 「Dyer v. Northwest Airlines Corp.42巻10号1618―19頁(2014年10月)334 F.Supp.2d 1196 (D.N.D. 2004) (プライバシー・ポリシーは契約ではないとされた事例)

 連載 第198回 「ViaStar, LLC v. Motorola, Inc.(上)」42巻11号1778―79頁(2014年11月)2006 WL 3075864 (D. Ind.) (consequential damages (結果―間接的―損害) の免責条項もlost profits (失われた収益) の請求を妨げるとは限らないと解釈された事例)

 連載 第199回 「ViaStar, LLC v. Motorola, Inc.(下)」42巻12号1928―29頁(2014年12月)2006 WL 3075864 (D. Ind.) (consequential damages (結果―間接的―損害) の免責条項もlost profits (失われた収益) の請求を妨げるとは限らないと解釈された事例)


2015年 『際商』 43

 連載 第200回 「In re Barnes & Noble PIN Pad Litigation43巻1号132―33頁(2015年1月)2013 WL 4759588 (N.D. Ill. Sept. 3, 2013) (不十分なセキュリティ故にパーソナル・データが漏洩した事例)

 連載 第201回 「Travelocity.com, LP v. CGU Insurance Co.43巻2号296―97頁(2015年2月)2013 U.S. Dist. LEXIS 13448 (N.D. Tex. July 31, 2003) (求償/ホールド・ハームレス条項の強制可能性が認められた事例)

 連載 第202回 「TradeComet.com LLC v. Google, Inc.43巻3号462―63頁(2015年3月)693 F.Supp.2d 370 (S.D.N.Y. 2010) (グーグル広告事業変更契約上の法廷地選択条項が強制可能と解釈された事例).

  

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インターネット法に係わる「迷惑メール/スパム」の法律問題に関する研究

この分野の日本に於ける研究業績には、以下拙考があります。

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)」(いわゆる「特定電子メール法」)の3年目の改正を睨んだ、総務省での「迷惑メールの在り方に関する研究会」については以下。

上の研究会の「中間とりまとめ(案)」(Nov. 2004)は以下。

上の「中間とりまとめ(案)」からのパブコメ募集に応じて筆者が提出した意見は以下。

以下に、中間とりまとめfinalがアップされています。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/041224_2.html> (last visited on Jan. 7, 2005)

小生のパブコメは、以下の文書「別添3 『...中間とりまとめ案』に寄せられた意見及びそれに対する研究会の考え方」の14ページ最終段落に出ています。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/pdf/041224_2_3.pdf>(last visited on Jan. 7, 2005)

いわゆる「特定電子メール法」の改正案が、内閣提出法案として、衆議院に提出された模様です。

以下の総務省のURLにて法案が入手可能です。
<http://www.soumu.go.jp/kyoutsuu/syokan/t_an.html> (last visited Mar. 16, 2005).

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インターネット法に係わるサイバースペースに於ける情報の「公有」対「私有財産化」
Public Domain versus Propertization in Cyberspace

迷惑メールに対してtrespass to chattels(物権的妨害排除請求権(占有訴権)?)をどこまで認容すべきかを巡る以下の論文の抜粋&裁判例+リステイトメントが参考になる。(筆者が国際商事法研究所による2003年8月大阪月例会にて発表した内容の参考資料。)

__________________________.

更に、以下の論文は、情報財の公有・共有が必ずしも「持たざる者」にとって有利にはならないという指摘をしていて興味深い。

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インターネット法に係わる「電子的開示手続:“イー・ディスカバリー”」(e-discovery)の研究

前掲、拙インターネット法裁判例(サイバー判例要旨集)に於いて紹介した事例の中の「Zubulake v. UBS Warburg [(V)]」 『際商』33巻3号420−21頁(2005年3月)が代表例として有名な、アメリカの「電子的開示手続」e-discovery)に関する法の発展が近年顕著です。 

「電子的開示手続」(“イー・ディスカバリー”と略称されています)とは、開示手続の中でも電子メールや電子ファイル等の開示に関する問題を総称する呼称です。

筆者が米国弁護士正会員であるABA(American Bar Association:全米法曹協会)の「Section of Litigation」(訴訟部会)は、つい先頃、以下の冊子を会員向に頒布し、このトピックの理解に役立ちます。

Section of Litigation, ABA, e-DISCOVERY: SPECIAL PUBLICATION ON e-DISCOVERY (2007).

特に代表裁判(決定)例が、同冊子のpp.8-9に掲載されています。

なお、ABA会員雑誌(月刊)のABA Journal』誌の2007年2月号に於いても、イー・ディスカバリーの特集記事(citationは以下参照)が掲載されています。

Jason Krause, E-Discovery Gets Real, 93 ABA. J., Feb. 2007, at 44.

Zubulake (V)」以外にも筆者が紹介した電子的開示手続の事例としては、以下の前掲判例要旨も参照下さい。

連載第84回In re Lowe's Companies, Inc.」 『際商』33巻5号710−11頁(2005年5月)
連載第85回In re Honeywell International, Inc.」 『際商』33巻6号856−57頁(2005年6月)
連載第90回Coleman v. Morgan Stanley」 『際商』33巻11号1596−97頁(2005年11月)

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インターネット法に係わるISP等の「仲介者責任」の研究

以下の筆者の業績を参照下さい。

平野晋 著 「ユーザーの名誉毀損行為に対するISPの民事責任」『判例タイムズ』1002号〜1003号(1999年8月).

平野晋 著 「ネットワーク仲介者・管理者の責任」『CYBER SECURITY MANAGEMENT』4号(2000年2月、Japan Cyber Security Institute).

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インターネット法に係わる主な参考/引用文献

平野晋 『電子商取引とサイバー法』(1999年、NTT出版)

平野晋&牧野和夫『(判例)国際インターネット法』(1998年、名文図書・プロスパー企画)

平野晋 「サイバー法と不法行為(サイバー・トーツ)」in 『総合政策研究』(2007年3月、中央大学).

平野晋 「連載インターネット法判例」in 『国際商事法務』26巻6号648−49頁(1998年6月)〜現在まで毎月連載中

平野晋 「社会問題化した紛争の代替的解決手段:『政策法務』的アプローチの実践例」in 小島武司 編 『ADRの実際と理論II』 68頁(中央大学出版部、2005年)(日本比較法研究所研究業書#68).

平野晋 「迷惑メール問題と米国に於ける分析」『日本データ通信』127号(平成14年9月).

平野晋 「ネットワーク仲介者・管理者の責任」『CYBER SECURITY MANAGEMENT』4号(2000年2月、Japan Cyber Security Institute).

平野晋 「ユーザーの名誉毀損行為に対するISPの民事責任」『判例タイムズ』1002〜1003号(1999年8月).

平野晋 「サイバー法は可能か」in『IT2001:なにが問題か』(岩波書店)80〜89頁(平成12年9月).

夏井高人、岡村久道、& 平野晋 「サイバー法とは何か」『判例タイムズ』984号(平成10年12月1日).

Jonathan H. Blavin, & I. Glenn Cohen, Note, Gore, Gibson, and Goldsmith: The Evolution of Internet Metaphors in Law and Commentary, 16 HARV. J. L. & TECH. 265 (2002).

Anne Wells Branscomb, Internet Babylon? Does the Carnegie Mellon Study of Pornography on the Information Superhighway Reveal a Threat to the Stability of Society?, 83 GEO. L.J. 1935 (1995).

Clay Calvert, Regulating Cyberspace: Metaphor, Rhetoric, Reality, and the Framing of Legal Options, 20 HASTINGS COMM. & ENT. L.J. 541 (1998).

Richard A. Epstein, Does Literature Work As Social Science? The Case of George Orwell, 73 U. COLO. L. REV. 987 (2002).

MARK F. GRADY & FRANCESCO PARISI, THE LAW AND ECONOMICS OF CYBERSECURITY (2006, Cambridge Univ. Press).

Jason Krause, E-Discovery Gets Real, 93 ABA. J., Feb. 2007, at 44.

LAURA LAMBERT, THE INTERNET: A HISTORICAL ENCYCLOPEDIA: BIOGRAPHIES (Hilary W. Poole, ed. 2005) (MIT Press).

Michael J. Madison, The Narratives of Cyberspace Law (Or. Learning from Casablanca), 27 COLUM. J.L. & ARTS 259 (2004).

James Podgers, Your ABA: As Worlds Collide―ABA groups ponder "real" law rules and applications in virtual envirnments, ABA.J. Vol. 94, Oct. 2008, at 64.

Marty Rimm, Marketing Pornography on the Information Superhighway: A Survey of 917,410 Images, Descriptions, Short Stories, and Animations Downloaded 8.5 Million Times by Consumers in Over 2000 Cities in Forty Countries, Provinces, and Territories, 83 GEO. L.J. 18499 (1995) .

Cass R. Sunstein, Cognition and Cost-Benefit Analysis, 29 J. LEGAL STUD. 1059 (2000).

DONALD WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION (2006, Cambridge Univ. Press).

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