本文へスキップ
ホーム  ニュース・日記2012年2月  About   在外研究先
(NY州イサカ市)
 
主な業績例    主な研究・教育例 Research Notes 

Feb. 2012 @ Oak Ave.
 
Feb. 6, 2012
   

ニュース・日記

 
日記

2012年2月24日(金)
「タワー」の居間でL博士の手料理に舌鼓。P教授も飛び入り参加で深夜までパーティ?!


L博士の手料理。イタリア男は料理が上手:-)。


夕食を堪能した「タワー」内の居間(マイロン・テイラー氏の肖像画)


 春学期から研究室を同じくするイタリアB大学の若手の博士Lさん(憲法)が、滞在中のロースクール内の「タワー」に招待してくれて、手料理もご馳走してくれた。写真のアペタイザの後のメインは、本場のカルボナーラ。
 メインを料理しているところに、丁度、本日イサカに到着したスペインの教授Pさん(EU法・国際法)が入室して来たので、夕食にご招待。
 僕達はシャンペンとワインを調達して行ったので、皆アルコールもまわって話も盛り上がり、いつの間にか深夜0時を回っていた。
しかし欧州人は夜遅くまで夕食を楽しむと聞いていたけれども、確かにこのライフ・スタイルは楽しい。
  居間に在るアナベラ・テイラー夫人の肖像画。新人のP教授に由来を説明したら、ひょうきんにもご丁寧にお辞儀をしていた :-)。


2012年2月22(水)&24日(金)
「行動経済学」のワークションプ(ビジネス・スクール)と、「会社法」の昼食講演会(ロースクール)に参加。


ビジネス・スクールが収まるSage Hall。ここの1階の教室で、「行動経済学と意思決定論」の学部横断的な研究会が定期的に開催されている。


ロースクールの定例昼食講演会が開催されるのは、写真左側2階のバルコニーの在る会議室「Faculty Lounge」(教員の居間)。専任教員以外にも、僕達のよーな客分(客員研究員)も参加できる。
 ところでこの定例昼食講演会は、どーも専任教員採用候補者達を、専任教員全員で吟味する意味合いもあるように感じられる ...?! 確かに、研究者としての資質を実際に吟味するには大変良い機会である。 (ウチの学部:中大総政学部も、採用すべき制度かもしれない!!!)

 


 
今週は、興味深いワークショップと論文発表会に参加できたので、ここに記録しておこう。このように最先端の研究結果を、論文執筆者自身の口から直接聞く機会に恵まれているのは、さすがアイビーリーグ大学でこそ味わえる醍醐味である :-)。

 水曜日のWSは行動と誘因の関係に関するもの。「行動経済学」に一応は分類しておいたが、発表者は経済学者ではなくて心理学者な感じ(UCサンディエゴ所属)。(自身の言葉によればイスラエル出身の学者の模様。ちなみにイスラエルの心理学者による行動経済学の論文には秀逸なものが多いように思われる)。特に面白かったのは、値段を決定する際に、固定価格を提示するよりも、「支払いたい額を支払ってもらう」(Pay What You Want)式の値段に、その額の半分をチャリティーに分配するという仕組みを組み合わせた方が、売上総額も一人当たりの利益率も際立って増加したという実証実験(有名なアミューズメント・パークの「D」で実施)結果の発表。ビジネス・スクール(マーケティング)的に実践的で非常に興味深かった。「実学」を標榜する我が中央大学も、是非とも見倣うべきであろう。詳細は、「法と認知心理学系の研究」のページ参照。

 金曜にはロースクール教授会定例の昼食講演会で、コーネルに客員教授として訪問中の、UCLAの専任教授が、「会社法」の、短期的な株主利益偏重な風潮を批判する興味深いゲラ刷り(秋に出版予定の一般書の中の数章)を披露。曰く、短期的利益追及は長期的利益に反する。更には株主以外の利害関係者や社会全体・環境にも悪影響(負の外部費用)を及ぼす。だから広く社会全体の諸利益のバランスを図ることが可能なはずの株式会社の組織(経営陣)は、株価の短期的な上昇のみを目標に経営すべきではないという内容。昨今の、株主利益(その意味は昨今では短期的な株価の上昇のみを意味している)重視主義に反旗を示した、非常に興味深い発表であった。
 教授達からの質疑も活発であったが、中でも重要な指摘は、発表者の問題提起に続く「解決策」も提起した方がより良くなるとゆー指摘。発表者の返答を聞いた限りでは、彼女自身、未だ解決策を持っていない模様。
 僕の私見では、彼女は株式会社の民主主義的な構造、すなわち経営陣が多様な利害の調整を民主主義的な代表者として行うことを期待していると思われる。しかし解決策として難しそうなのは、如何にしてこの経営陣を選出するのかとゆー点。株主総会は株主利益(私的利益)の代表者を選出する機関だとすると、公的利益を実践させる為の仕組みを如何に創出するのかが、難しそうである。直観的には、法規制を使って、例えば公益を追及する義務も会社法や証券取引法等に組み込むことにするしかないようにも思えるが、それが実現可能か、又は、単なる抽象的努力目標規定に終わるおそれがあるのではないか、等と疑問は尽きない ...。
 それにしても彼女の指摘は、長期的な利益を重視して批判されて来た、かつての日本式経営の良さを見直すきっかけになるかもしれない?!
 


2012年2月16日(木)
金曜昼食時の教授会定例講演・カナダの大学準教授による論文の発表会


昼食講演が開催された「Faculty Lounge」@Cornell Law School。今回の講師は「法と認知心理学」系の論文を披露。


 心理学の博士で法学の学位は持っていないものの、興味深い論文の発表会だったので、ここに記録しておこう。詳細は、「法と認知心理学系の研究」のページを参照。



2012年2月4日(土)
映画「ヒューゴ」の後に「BJ's」で食材買い出し


East Hill Car-wash」で洗車。久しぶりの晴れた天気のせいか、又は、土曜日の午後だからなのか、洗車場には続々と地元の自動車が入って来て、繁盛していた。イサカでは凍結防止の為に道路上に大量の塩が毎日蒔かれるので、そこを走行するクルマも塩だらけになって汚く見える。これを放置しておくと錆も車体を浸食する。だから洗車は、重要なメインテナンス上の工程でもあるのだ。


Regal Cinema@Ithaca Mall。




 洗車を済ませてから、 日本では3月公開予定の映画「Hugo」を観る。スコセッシ監督、ジョニー・デップ製作、ジュード・ロー出演。


 その後、先週末に開店した、映画館近くの量販店「BJ's」で食材を買い出し。レジで並んでいたら、後から来た白人ご夫婦の旦那さん(地元のおじさん風)から、

 「日本の軍人さん?」

と声を掛けられた。この質問をスーパーで見知らぬ人(全て地元の白人)から訊かれるのは、これで三〜四度目。イラク・アフガン戦争版の、デジタル迷彩ミリタリー・ジャケットに、日本から持参した日本の国旗と星条旗のワッペンを並べて肩に付けているから、僕はこの質問をしばしば受ける(左写真3枚目)。質問してくる人は、軍人さんにシンパシーを感じているか、日本にシンパシーを感じているか、又はその双方の人のようである。

 「違う[軍人ではない]けれども、地元に自衛隊(Self Defense Force)の基地があるので。」

と答えると、先方は納得したような顔をしつつ、

 「てっきり合同演習か何かに参加したのかと思ったよ。米日両国の国旗が肩に付いているので」

と付け加えてくれた。僕からは

 「確かに我々は同盟国だから」

と応じると、彼も、

 「クレイジーな人々が●●●[国名]に居るからね」

と答えて来た。レジを終えて帰ろうとすると、彼がわざわざ近寄って来て

 「Daumo Arigato Gozaimasu」

と言ってくれた。親近感を感じてくれたらしー。

 ちなみに僕が国旗のワッペン付のジャケットを愛用している理由の一つは、自分が日本人であることを、地元のアメリカ人にひと目で分かってもらいたいとゆー意味もある。 [途中省略] 僕としては、挨拶を欠かさず、丁寧に地元の人に接するように心掛けて、自国の名誉を守り、めっきりお目に掛からなくなった日本人のプレゼンスを印象付けて、我々は苦しんでいるけれども頑張っているんです、とゆーところを観せたいと願うばかりである。

2012年2月3日(金)
金曜昼食時の教授会定例講演・アイビーリーグ大学教授による論文の発表会


外部講師を招いて毎週金曜に昼食講演が開催される「Faculty Lounge」@Cornell Law School。講師は発表直前の論文を披露し、コーネル・ローの教員からの質問や批判を受ける。



 日本法を専門にしている某アイビーリーグ大学のアメリカ人教授が、論文の原稿を発表しに来た。内容は中国の会社組織は中央集権的な国営企業構造である云々。

 興味深いが、僕の知人の中国人教授曰く、「彼は日本法を専門にしているはずなのに、ねェー」とのこと . . .。

 確かに近年、アメリカのロースクールで、日本法の話題はめっきり聞かれなくなった。留学生も、日本人はめっきり見かけなくなった。20云年前の、世界に於ける日本の繁栄の絶頂期をコーネルで経験している僕から見れば、今の日本は最早、絶滅危惧種の感さえある。 ... 非常に残念である。




 2012年1月の日記・ニュース
12月の日記・ニュース
 11月の日記・ニュース
 10月の日記・ニュース
9月の日記・ニュース 
 8月の日記・ニュース
 

 中央大学多摩キャンパス「桜広場」を研究室から望む。
Looking down the Cherry Field from my office in Chuo Univ., Tokyo, Japan  
主なニュース
 2011年8月  渡航準備で忙しい . . .。
 2011年5月24日  コーネル大学ロースクールより、Visiting Scholarとしての正式な招聘状が来た。招聘状の発信者は、「クラーク国際および比較法学研究センター」の執行部長。文面は以下の文言で始まっていた。

「ジェームズ・ヘンダーソン教授とコーネル大学ロースクールを代理して私は、喜んであなたを、コーネル大学ロースクールの訪問研究者として招待致します . . . 。」(拙訳)

いよいよ渡航準備に着手できる . . . 。
なお、ヘンダーソン教授は、製造物責任法に関する世界でNo.1の研究者。『リステイトメント(第三次)不法行為法:製造物責任』の共同起草者でもある。
2011年1月10日 下記「プロバイダ責任制限法」に関する総務省の作業部会(WG:ワーキンググループ)に於ける、筆者の発表資料の内容が公開された――以下をクリック下さい。
平野晋「米国プロバイダ責任制限法〜『デジタル・ミレニウム著作権法』512条等に関する幾つかの裁判例の紹介〜」
in
総務省「プロバイダ責任制限法検証WG(第3回会合)」 配布資料7(平成22年12月21日).
2010年12月2日 製造物責任法(PL法)の研究に関連して、(独)科学技術振興機構[JST]・ディペンダブル組込みOS研究開発センターが、12月2日(木)に、「パシフィコ横浜」のアネックスホール [F206]で開催する、「オープンシステムディペンダビリティが世界を変える〜ディペンダビリティと説明責任〜」のパネル・ディスカッション「ディペンダビリティにおける説明責任」(15:40〜17:00)にパネラーとして参加。
2010年7月23日

製造物責任法(PL法)の研究に関連して、企業法務の月刊誌『ビジネスロー・ジャーナル』2010年9月号(レクシスネクシス・ジャパン株ュ行 2010年 7月21日発売)に、筆者へのインタヴュー記事「劇場型陪審裁判がカギ:PL訴訟という"ゲーム"に勝つために」が掲載された。

   
The author in Horyu-ji, Nara City, Japan