Prof.Dr. Susumu HIRANO,
Visiting Scholar

CORNELL UNIVERSITY LAW SCHOOL
The Clarke Center for International & Comparative Legal Studies

Myron Taylor Hall, Ithaca, New York 14853, U.S.A.
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(NY州イサカ市)
 
主な業績例    主な研究・教育例 Research Notes 

Mar. 2012 Myron Taylor Hall
 
Mar, 2012 in Cornell Law School
   

ニュース・日記

 
日記

2012年3月31日(土)
映画「タイタン」を観て...


昨日封切の「タイタンの逆襲」。


 
解説は4月の日記を参照ください。


  


2012年3月25日(日)
メープル・シロップ・フェスティヴァル







 掲題のフェスティヴァルは、カユガ湖近辺のメープル・シロップ生産者が共同で行うもので、複数の会場で土日に開催される。住まいに近い会場は、カユガ湖西岸の「カユガ自然センター」(Cayuga Nature Center)
。入場料12ドル/一人で、ライブ演奏付のパンケーキが食べられる。

 左写真一番上が、会場の「カユガ自然センター」。行ってみると駐車場が満杯になる程の賑わいで、道路の反対側の空き地を臨時駐車場として案内された。

 写真真ん中のパンケーキは、見た目は良くないけれども、意外に味は今までアメリカで食べた中で最良であった。今までのパンケーキは何れも粉を十分に混ぜていない為に、粉っぽいと云うか、食べている最中にボロボロと崩れて来た。しかしここのパンケーキは、そういうこともなく美味しいのである。更に付け合せのソーセージもおそらくは手づくりで、味もしっかり付いている。アップル・シナモンも美味しかった。

 写真最下段は、ライブ演奏の様子。ハーモニカとギターを弾きながらのボーカルは、ニール・ヤングの「ハート・オブ・ゴールド」風。意外に上手。

 食事と音楽を楽しんだ後、館内の動物の剥製や、本物の動物を見学。地元の人々ばかりの、イサカらしい自然派な雰囲気を満喫した。
  


2012年3月20-21日(火・水)
NJ州ミツワにお買い物と...? !


ハドソン川から対岸のマンハッタンを臨む。

日本スーパーマーケット「ミツワ」。

復路、NY州ルート17。

上は、「山頭火」のラーメン。味は本店に全く劣らない。昆布だしに豚風味:-)。


 妻の悩みは、イサカにまともな美容院が全く無いこと。色々悩んで、結局、近郊でまともな[日本並みのサービスの]美容院は、NJ州のマンハッタン近くのスーパー「ミツワ」内に在る美容院まで行くしかない、との結論に達した。そこで、春休みを利用して、クルマで行ってみた。

 往路は休憩時間を含めて6時間。道は事前の予習が利いて、意外に分かり易い。ルート79をひたすら南下→ルート17Eastをひたすら南下→ルート6で東に少し行って→Palisades Interstate Parkwayをひたすら南下→ジョージワシントン橋の前でExitから出て→505号線を南下すると→左のハドソン川沿いにミツワ


 美容院「ミチ美容室」の質も、マンハッタンの「Shizen」よりも良く、且つ値段もリーズナブルとの妻からの報告。満足してもらえたようである。

 ところでミツワの主店舗内は、全く日本な感じ。テナントのお茶の「伊藤園」や和菓子の「源の吉兆庵」は、日本人スタッフでとても感じが良い。だがスーパー売り場のレジは、非日本人で愛想も悪い。イサカよりも愛想は悪い。僕がオーナーだったら即クビにするくらいに気分が悪い(サービス業である自覚が無い)ので、覚悟する必要がある。(でもレジによってはマシな人も居ることを二日目には学習したので、そこで清算することにした)。


 復路は道に慣れているせいもあり、制限速度が65mphに上昇するルート17を時速70マイルで巡航した結果、僅か4時間15分で帰宅。

 計画は大成功であった。

 
上左はラーメン「山頭火」、上右はとんかつ。味は日本の本店と同じ。

  


2012年3月18日(日)
春の湖(うみ) ひねもす のたりのたりかな...


入り江の向こう側の山の上に、コーネル大学が見える。


カユガ湖入り江。「ウオーターフロント」と書いてある。


 コーネル大学が春休みに入り、20度Cを超える温かい日が続いているので、カユガ湖の南端西海岸側の入り江の公園に散歩しに行ってみた


 初夏のようなポカポカ陽気で、市民も多くが公園に来て、散歩をしたり、釣りをしたり、小舟を出したり、野球やサッカーをしたりBBQをして、思い思いに自然の恵みを楽しんでいた。下の写真は、レガッタの練習風景。


  


2012年3月17日(土)
第2回日欧合同パーティー @ ザ・タワー in コーネル・ロースクール . . . !


L博士の手料理。




いつも料理の腕をふるってくれるL博士。写真には写っていないけれども、デザートには自ら作ったティラミスもご馳走してくれた。


 コーネル大学が春休みに入り、L博士と再びタワーでパーティーをやることに。今回もP教授もお呼びして、ウチからはカレー・ライスを持参した


 会は前回同様盛り上がり、午前1:00過ぎまで様々な話題に華が咲いた。意外なのはイタリア人のL博士とスペイン人のP教授のお二人共に、日本の歴史や文化に興味を抱いていること。例えば「俳句」の話。5・7・5の意味とリズムを知りたがったので、古池や、と、柿食えば、を音読してあげたところ、リズムの重要性を認識していた。呼称にも興味を抱いたので、「...さん」と「...先生」の違いを説明。面白いことにP教授は、「...sensei」をアニメで聞いたことがあると言っていた。欧州連合法の教授が、アニメを観るとは、ちょっと驚きである。ちなみに彼は、映画「おくりびと」が素晴らしかった、実際に泣いてしまった、と絶賛していた。更に「茶道」の話をして欲しいとせがまれる。予習が不十分な僕は曖昧な話しかできなかったので、次回は妻のtea ceremony実演を約束。僕も勉強してきちんと説明できるように準備しておくことを約した。

 更に彼らが興味を抱いているのは、日本の、他の大国との関係。例えばアメリカと中国のどちらが好き・重要だと日本人は捉えているのか?とか、ヨーロッパとアメリカのどちらが好き・重要だと捉えているのか?とか...。ちなみに彼らのアジア諸国のイメージは、アジアと云えば日本、中国、および韓国の三国を想起するそーである。インドはアジアとゆーよりも、インドはインド。東南アジア諸国は小さくて、余り直ぐには想起できないとのこと。そしてアジア三国の中で中国は西欧民主主義諸国から(価値観・政治思想が)遠く理解しにくく付き合いづらいイメージだそーである。日本は西欧諸国と同じ仲間、すなわち民主主義に立脚した経済国家として同じ仲間であると捉えているとのこと。ちなみに韓国は、日本を模倣したような存在で、中国と日本の間の中間的なイメージだそうである。

 文学の話題にも及んで、妻の英文学や、僕の好きなトーマ・マンの話も。後者がアイロニーで日本では有名だと披露したら、初めて聞いたと両者が言うので、『ブッテンブローグ家の人々』の中の、糖尿病の親戚が「甘いもの好き」を止められずに屋根裏部屋で顔をスイーツに突っ込んで死んで発見された話をしたら、両者ともに納得。でもこの話が『ベニスに死す』に似ていると言ったら、objectionが出てしまった。僕は両方共に人間の弱さを表している点で共通している、と更に説明したら少しは理解してもらえたよーであったが。更に僕がスタンダールの『赤と黒』が『パルムの僧院』よりも好きだと言ったら、二人ともこれらは読んでいないとのことで、僕から前者のあらすじを説明しておいてあげた。仏文よりは独文の方を両者が読んでいることに、少し驚いた次第である。


2012年3月16日(金)
春到来を通り越して、もはや夏 . . . !


住まいの前の一枚。午前中に雨が降って未だ涼しい時間帯。でもこの後、午後から夕方には室内が真夏のような暑さに。


 最高気温が20度C近くに達する今日この頃。世の中はすっかり春。しかし困ったのは、住まいのセントラルヒーティングが、昔ながらのスチーム・パイプに蒸気を循環させて鉄筋コンクリートの集合高層住宅全体を温める形式であること。各部屋では温度調節やON/OFFが不可能なので、外が温かくても暖房が効いているという状態が続き、部屋の中は真夏
。室内に居ると頭がぼーっとして来る程に暑い。

 エネルギー資源の希少性をもっと有り難がって節約すべきである、と研究室仲間のイタリヤ人のL博士が言うのも、満更外れていない気がする。早く涼しくなって欲しい...。

  


2012年3月11&12日(日・月)
東日本大震災1年目のコーネル大学・会議


会議開催の辞を述べるM教授。会議一日目。


会議一日目の後のレセプション・ディナー@Physical Sciences Hall。全面ガラスばり吹き抜けのアトリウムで、夕焼けが美しく映える。


2日目午後にワークショップが開催されたCornell Plantation。





 暫く日記の更新を怠っていた理由の一つは、標題の会議用に講演を依頼されていたので、その準備に忙殺されていたからである


 僕に与えられたお題は、日本の原子力損害賠償法(いわゆる原賠法)について。僕の狭義の専門は「製造物責任法」だから、ちょっと専門から外れるし、実はこの法律の内容を僕はあまり知らなかった。しかし広義の専門分野の「不法行為法」の一部を原賠法は構成しているから、調べれば何とかなると思い、講演をお引き受けした。しかし本当の理由は何よりも、日本人ではない研究者達やコーネル大学が、わざわざ多くの資金と労力を提供して日本の震災の為に会議を開催してくれるというのだから、日本人たる僕が協力しないという選択肢は在り得ないと思った。少し専門から外れても、今、コーネル大学に居ながら(そしてここに居るからこそ)、震災の復興に少しでもお役に立てるなら、是非ともお役に立ちたいと思った訳である。

 お引き受けしたは良いが、原賠法とこれを更新する新規立法(いわゆる支援機構法)の構造が、調べてみると結構複雑であることが徐々に判って来た。幸い、会議の主導者の一人であるR教授が、日本の新しい法律雑誌の特集号を貸してくれたので、日本におけるこの法律を巡る最新事情も理解できた。しかし批判的な声も大きく、相対立する諸利害をまとめたこれらの法律を、僅か30分で、しかも英語で、法律家以外の聴衆も多い中で、如何に分かり易く伝えるか?そして、ただ概要を伝えるだけではなく、僕の意見を如何に表明するか?悩みは尽きず、講演当日に向けて、研究室に閉じこもって、パワーポイントで発表用資料を作りつつ、海外の法律論文や諸資料を読み漁る日々が続いた次第である。

 しかし努力のかいあってか、当日の発表は成功。多数の方々から、良かった、判り易かった、中立的であった、論理的に明解であった、と温かいお声を掛けていただけた。主導者のR教授からも、相当準備に時間を割いたでしょう、有難う、との言葉をいただき、同じく主導者のM教授からも、あのスライド、分かり易いので利用させていただいて宜しいでしょうか、との言葉もいただけた。

 ところで発表はどのような表現手法・内容だったのかと云えば、まず法律の概要をポンチ絵(チャート)にしてビッグピクチャーを示すことにした。すなわち、支援機構法ができる前の原賠法の概要の絵と、支援機構法の概要の絵と、支援機構法後の原賠法の絵を作り、視覚的に理解してもらうことにした。結果的にこれが相当成功したようである。内容の方は、不法行為法の目的と倫理哲学的原理を最初に説きお越してから、それら目的・原理に照らして支援機構法後の原賠法制度を評価。僕の結論は、この制度は、もはや不法行為法の根本である矯正的正義(corrective justice)や抑止機能(deterrence)からは説明が難しいものと化しているけれども、社会保障的な分配的正義(distributive justice)からは説明が可能、というものとした。聴衆の皆さんにも僕の言いたいことは伝わったような気がする。

 終わった後の僕自身の感想は、お引き受けして良かったということ。日本の法律(条文のみならず解説や批評や判例等)は、英語にされることが極めて稀な分野である。しかし残念ながら英語が国際語になっている現状では、英語で発表しなければ何も発表されていないのと同じに捉えられてしまう。原賠法や支援機構法等の情報も、国際的には殆ど伝わっていないので、今回の僕の英語の発表が、少しでも国際的な日本の震災関連の法律の理解に繋がれば幸いだと思った次第である。

  ところで、左の最後の写真は、2日目の夜に開催されたレセプション@ジョンソン美術館におけるライブ演奏。このレセプションが派手なのは、震災とは関係なく、ロースクールの「クラーク東アジア法と文化プログラム」10周年目等をお祝いするイベントだったからである。ちなみに今回の会議は、このプログラムの潤沢な予算(とコーネル大学の東アジアプログラムの予算)のお陰で成立したものである。日本では学術会議にこれ程に潤沢な予算は付かないので、やはり世界のコーネル大学はスケールが違う。


2012年3月3日(土)
ダウンタウンの郵便局に、確定申告を送付する為にわざわざ . . .


商店街「イサカ・コモンズ」内のモニュメント。


コモンズの西側入り口付近。


 確定申告の締切に間に合わせる為に、前夜はほぼ徹夜で計算と書式記入をやり、今朝、速達郵送の為にあわててダウンタウンの郵便局に
。土日夜間はダウンタウンの路上パーキングメーターも只になるので、市庁舎の前に路駐。しかし速達便の方は50数ドルも掛かるが、やむを得ず。

 ついでにイサカ市の中心にある商店街「コモンズ」を散歩。ブランチに「DeWitt Cafe」のパンケーキ(ベーコン+目玉焼き付)を堪能。ここの食べ物は、日本でも通用する位の美味しさを保っている。市民もそれを知っているからか、週末のこういう時間帯には席もほぼ一杯になり、昼過ぎには空席を待つ人々の列が出来る程である。

  
  上の写真は市庁舎前の愛車。


2月の日記・ニュース
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9月の日記・ニュース 
 8月の日記・ニュース
 

 中央大学多摩キャンパス「桜広場」を研究室から望む。
Looking down the Cherry Field from my office in Chuo Univ., Tokyo, Japan  
主なニュース
 2011年8月  渡航準備で忙しい . . .。
 2011年5月24日  コーネル大学ロースクールより、Visiting Scholarとしての正式な招聘状が来た。招聘状の発信者は、「クラーク国際および比較法学研究センター」の執行部長。文面は以下の文言で始まっていた。

「ジェームズ・ヘンダーソン教授とコーネル大学ロースクールを代理して私は、喜んであなたを、コーネル大学ロースクールの訪問研究者として招待致します . . . 。」(拙訳)

いよいよ渡航準備に着手できる . . . 。
なお、ヘンダーソン教授は、製造物責任法に関する世界でNo.1の研究者。『リステイトメント(第三次)不法行為法:製造物責任』の共同起草者でもある。
2011年1月10日 下記「プロバイダ責任制限法」に関する総務省の作業部会(WG:ワーキンググループ)に於ける、筆者の発表資料の内容が公開された――以下をクリック下さい。
平野晋「米国プロバイダ責任制限法〜『デジタル・ミレニウム著作権法』512条等に関する幾つかの裁判例の紹介〜」
in
総務省「プロバイダ責任制限法検証WG(第3回会合)」 配布資料7(平成22年12月21日).
2010年12月2日 製造物責任法(PL法)の研究に関連して、(独)科学技術振興機構[JST]・ディペンダブル組込みOS研究開発センターが、12月2日(木)に、「パシフィコ横浜」のアネックスホール [F206]で開催する、「オープンシステムディペンダビリティが世界を変える〜ディペンダビリティと説明責任〜」のパネル・ディスカッション「ディペンダビリティにおける説明責任」(15:40〜17:00)にパネラーとして参加。
2010年7月23日

製造物責任法(PL法)の研究に関連して、企業法務の月刊誌『ビジネスロー・ジャーナル』2010年9月号(レクシスネクシス・ジャパン株ュ行 2010年 7月21日発売)に、筆者へのインタヴュー記事「劇場型陪審裁判がカギ:PL訴訟という"ゲーム"に勝つために」が掲載された。

   
The author in Horyu-ji, Nara City, Japan